可搬性に優れ、安定性と品質にも優れた三脚 「Velbon UT-43Ⅱ」
2019.11.26/Tue/17:02:23
![]() | 収納時長さ275mm というコンパクトさと、伸長時高さ146cm という使いやすさを両立。なおかつ各部の作りが高質でがっしり。三脚として妥協のない作りのコンパクト三脚、「Velbon UT-43Ⅱ」を購入しました。 |
【可搬性に優れた三脚の必要性】
私は仕事柄、よく海外に行きます。行った先で写真を撮ることも多いのですが、夜景や星空をきれいに撮る場合、三脚が必要です。したがって、とんぼ返りでなく、1週間以上滞在するような場合は大抵三脚を持っていきます。次の写真は、焦点距離フルサイズ換算で176mm、露出F2.8、0.5秒で撮影したものです。当然手持ちではなく、三脚を使って撮影しています。

(ノースシドニーのコンドミニアムからの夜景)
今までは、ハンディー三脚を現地で何らかの台の上に置いて使ったり、KING fotopro DIGI3400 という小型軽量三脚を使ったりしていました。しかし、その当時のカメラは PENTAX Q10 で、レンズと本体合わせたシステム重量はコンデジクラス。しかし、現在、カメラを SONY α6400 に乗り換えたため、システム重量が増加しました。
DIGI3400 の耐荷重は 1.5kg であるため、α6400 を想定しても、まだ重量は許容範囲ではあるのですが、この DIGI3400 の自重は566g。乗せるものに対して、ちょっと三脚自体の重量が軽すぎの感があります。

材質はアルミではあるものの、軽量化のため脚が相当細く、華奢な造りになっています。そのため外乱(風やカメラ操作等)で、「揺れ」が発生しがちです。。また、この DIGI3400 の伸長時の高さはエレベータを伸ばしても 120cm、カメラのファインダーや背面液晶を除くとき、背をかがませる必要がありました。
そこで、カバンに難なく入り、なおかつ背を屈めなくても使えるがっしりとした三脚はないものかと最近物色を重ねていました。
【Velbon ULTREK シリーズ】
三脚の収納時のコンパクト性と伸長時の長さは表裏一体の関係にあります。コンパクト性と伸長時の長さを両立するには、脚の段数を多くするしかありません。しかし、むやみに段数を多くすることはできません。段数を多くすると、伸縮倍率を稼ぐことができますが、それだけ脚内部の重なりが増えるため、最下部の脚が細くなり、安定性が損なわれてしまいます。
その課題を見事に解決したのが、Velbon ULTREK シリーズ。その小型版「UT-43Ⅱ」を購入しました。その見事な解決方法は、外観にも表れています。収納時には、三脚の脚が、雲台、エレベータ、支点等を内側に包み込むように、180°反転します。この仕組みで脚の基本長を確保する設計になっています。

外観等を紹介します。パッケージは標準的な外箱。

収納用に、ナイロン素材の丈夫そうな袋が付いていました。そのため、外箱は不要。私は箱はすぐに廃棄しました。

内容物は、本体、収納ケース、文書(説明書、活用ガイド)です。

本体重量は 1,093g。持ってみるとけっこうずっしりです。しかし三脚は、ある程度の重量があったほうが利用時に安定します。今回は海外出張を意識し、総重量よりも収納時のコンパクトさを重視しました。三脚を常に携帯するシーンが予想されるなど、軽さが重要の場合は、fotopro DIGI の方を選ぶなど、使い分けを行います。

収納時の長さは 27.5cm。これは、伸長時に 146cm にもなる標準的な大きさの三脚としては驚異的なコンパクトさです。

伸長時に高々 120cm の fotopro の収納時の長さは、38cm 、今回購入した UT-43Ⅱ と比べると、これだけ差があります。海外出張時に、私はスーツケースは持たず、機内持ち込み可能なキャリケースを使います。収納時の長さが 27.5cm だと、キャリーケースの短辺に沿って入れることができます。


【伸長】
この三脚は「ウルトラ・ロック」と呼ばれる脚の固定方式を採用しています。ウルトラ・ロックとは脚のパイプを固定するレバーを廃止、代わりにパイプの内部断面を工夫することによって、パイプをひねるだけで伸ばした脚を固定できる方式です。固定レバーがないため、収納時に固定レバーが外に並び、重ねられない構造の部分を、パイプを重ねる分に振り向けることができます。その結果、収納時の長さを削減することが可能となり、伸縮倍率の拡大に寄与しています。
三脚を伸ばすには、まず短くなっている3本の脚を180°反対側におろし、脚の取付支点の部分の上にセットされている留め具リングを60°回転させます。そうすることで、開いた脚がそれ以上開かないように固定されます。

あとは脚を伸ばし、石突きのゴムを持って時計回りに回すと伸ばした脚が固定されます。脚の途中には支持具はありませんが、各部品の剛性がしっかりしているので、三脚がぐらつくことはなく、ビシッと固定されます。

脚を伸ばすと、地面から雲台上面との高さは 146cm。この高さがあると、カメラのファインダーを覗くとき、私の身長だと背を伸ばして、そのまま無理なくファインダーを見ることができます。比較として、高さ120cm の fotopro を横にならべてみました。120cm だと、カメラを覗くときに中腰になってしまいます。大きな改善です。

【開脚角度調整】
この三脚は脚を伸ばさず、低い位置での撮影に利用する際、その脚を開く角度を3段階に調節することができます。調節は、脚のヒンジの上にある留め金具のスライダーを調節して行います。

これが、通常の角度。エレベータを最も下げた状態で、高さは41cm。

これが、1段脚を開いた状態。エレベータを最も下げた状態で、高さは36.2cm。

これが、最も脚を開いた状態。エレベータを最も下げた状態で、高さは24.8cm。エレベータのパイプは、この状態で地面に接触しないように、地面に触れる寸前で止まります。

【雲台】
装備されている雲台は、デザイン、精度、操作感共に優れた上質なものが付いています。またこの雲台は底部に三脚ネジ穴を持つねじ込み式で、取り外すこともできます。

雲台の角度は、おなじみのボールジョイント式の調整方式。その締め付けは、バーではなく手触りが良く、絶妙な操作フィーリングのダイヤル式です。固定トルクを表す目盛りも付いていて、ダイヤル内周にあるスクリューを利用して、リリース時に完全開放せず、必要な抵抗力を保った状態でリリースを止めることが可能です。

雲台をパンさせる軸の固定もスクリューで固定する方式です。動作感覚は、内部にぎっしりとグリスが詰まっている「かのごとく」、非常に滑らかです。

カメラ取り付け部分は、クイックシュー方式が採用されています。

クイックシューのねじは、折りたたみノブ式になっています。カメラをシューに取り付ける際に、コインは不要。手で取り付けることができます。

このクイックシューはシューを取り外すと、ベースから突起が飛び出し、取り外した状態でレバーが固定される仕組みとなっています。

こうやって、ベースを「パチン」とはめ込むことで…

固定レバーがばねによって戻ります。カメラをはめ込む際に、レバーを解放し続ける必要がなく、利便性が高められています。

【感想】
星空や夜景を、良いカメラで画質よく撮影するために、しっかりしたフルサイズの三脚が欲しいと思っていました。また、その三脚が、旅行カバンにかさばらずに入れば良いのにとも思っていました。その相反する要望を実現した三脚が、この「Velbon UT-34Ⅱ」です。各部の仕上げと操作感覚も良好で「いいもの感」がにじみ出ている商品です。
【関連ページ】
しばし、投稿拠点をシドニーに移します。
シドニー近郊絶景集
シドニーで南十字星を見る
α6400 を収納し、速写するためのベルト取付型カメラポーチ
PENTAX Q10 購入
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
私は仕事柄、よく海外に行きます。行った先で写真を撮ることも多いのですが、夜景や星空をきれいに撮る場合、三脚が必要です。したがって、とんぼ返りでなく、1週間以上滞在するような場合は大抵三脚を持っていきます。次の写真は、焦点距離フルサイズ換算で176mm、露出F2.8、0.5秒で撮影したものです。当然手持ちではなく、三脚を使って撮影しています。

(ノースシドニーのコンドミニアムからの夜景)
今までは、ハンディー三脚を現地で何らかの台の上に置いて使ったり、KING fotopro DIGI3400 という小型軽量三脚を使ったりしていました。しかし、その当時のカメラは PENTAX Q10 で、レンズと本体合わせたシステム重量はコンデジクラス。しかし、現在、カメラを SONY α6400 に乗り換えたため、システム重量が増加しました。
DIGI3400 の耐荷重は 1.5kg であるため、α6400 を想定しても、まだ重量は許容範囲ではあるのですが、この DIGI3400 の自重は566g。乗せるものに対して、ちょっと三脚自体の重量が軽すぎの感があります。

材質はアルミではあるものの、軽量化のため脚が相当細く、華奢な造りになっています。そのため外乱(風やカメラ操作等)で、「揺れ」が発生しがちです。。また、この DIGI3400 の伸長時の高さはエレベータを伸ばしても 120cm、カメラのファインダーや背面液晶を除くとき、背をかがませる必要がありました。
そこで、カバンに難なく入り、なおかつ背を屈めなくても使えるがっしりとした三脚はないものかと最近物色を重ねていました。
【Velbon ULTREK シリーズ】
三脚の収納時のコンパクト性と伸長時の長さは表裏一体の関係にあります。コンパクト性と伸長時の長さを両立するには、脚の段数を多くするしかありません。しかし、むやみに段数を多くすることはできません。段数を多くすると、伸縮倍率を稼ぐことができますが、それだけ脚内部の重なりが増えるため、最下部の脚が細くなり、安定性が損なわれてしまいます。
その課題を見事に解決したのが、Velbon ULTREK シリーズ。その小型版「UT-43Ⅱ」を購入しました。その見事な解決方法は、外観にも表れています。収納時には、三脚の脚が、雲台、エレベータ、支点等を内側に包み込むように、180°反転します。この仕組みで脚の基本長を確保する設計になっています。

外観等を紹介します。パッケージは標準的な外箱。

収納用に、ナイロン素材の丈夫そうな袋が付いていました。そのため、外箱は不要。私は箱はすぐに廃棄しました。

内容物は、本体、収納ケース、文書(説明書、活用ガイド)です。

本体重量は 1,093g。持ってみるとけっこうずっしりです。しかし三脚は、ある程度の重量があったほうが利用時に安定します。今回は海外出張を意識し、総重量よりも収納時のコンパクトさを重視しました。三脚を常に携帯するシーンが予想されるなど、軽さが重要の場合は、fotopro DIGI の方を選ぶなど、使い分けを行います。

収納時の長さは 27.5cm。これは、伸長時に 146cm にもなる標準的な大きさの三脚としては驚異的なコンパクトさです。

伸長時に高々 120cm の fotopro の収納時の長さは、38cm 、今回購入した UT-43Ⅱ と比べると、これだけ差があります。海外出張時に、私はスーツケースは持たず、機内持ち込み可能なキャリケースを使います。収納時の長さが 27.5cm だと、キャリーケースの短辺に沿って入れることができます。


【伸長】
この三脚は「ウルトラ・ロック」と呼ばれる脚の固定方式を採用しています。ウルトラ・ロックとは脚のパイプを固定するレバーを廃止、代わりにパイプの内部断面を工夫することによって、パイプをひねるだけで伸ばした脚を固定できる方式です。固定レバーがないため、収納時に固定レバーが外に並び、重ねられない構造の部分を、パイプを重ねる分に振り向けることができます。その結果、収納時の長さを削減することが可能となり、伸縮倍率の拡大に寄与しています。
三脚を伸ばすには、まず短くなっている3本の脚を180°反対側におろし、脚の取付支点の部分の上にセットされている留め具リングを60°回転させます。そうすることで、開いた脚がそれ以上開かないように固定されます。

あとは脚を伸ばし、石突きのゴムを持って時計回りに回すと伸ばした脚が固定されます。脚の途中には支持具はありませんが、各部品の剛性がしっかりしているので、三脚がぐらつくことはなく、ビシッと固定されます。

脚を伸ばすと、地面から雲台上面との高さは 146cm。この高さがあると、カメラのファインダーを覗くとき、私の身長だと背を伸ばして、そのまま無理なくファインダーを見ることができます。比較として、高さ120cm の fotopro を横にならべてみました。120cm だと、カメラを覗くときに中腰になってしまいます。大きな改善です。

【開脚角度調整】
この三脚は脚を伸ばさず、低い位置での撮影に利用する際、その脚を開く角度を3段階に調節することができます。調節は、脚のヒンジの上にある留め金具のスライダーを調節して行います。

これが、通常の角度。エレベータを最も下げた状態で、高さは41cm。

これが、1段脚を開いた状態。エレベータを最も下げた状態で、高さは36.2cm。

これが、最も脚を開いた状態。エレベータを最も下げた状態で、高さは24.8cm。エレベータのパイプは、この状態で地面に接触しないように、地面に触れる寸前で止まります。

【雲台】
装備されている雲台は、デザイン、精度、操作感共に優れた上質なものが付いています。またこの雲台は底部に三脚ネジ穴を持つねじ込み式で、取り外すこともできます。

雲台の角度は、おなじみのボールジョイント式の調整方式。その締め付けは、バーではなく手触りが良く、絶妙な操作フィーリングのダイヤル式です。固定トルクを表す目盛りも付いていて、ダイヤル内周にあるスクリューを利用して、リリース時に完全開放せず、必要な抵抗力を保った状態でリリースを止めることが可能です。

雲台をパンさせる軸の固定もスクリューで固定する方式です。動作感覚は、内部にぎっしりとグリスが詰まっている「かのごとく」、非常に滑らかです。

カメラ取り付け部分は、クイックシュー方式が採用されています。

クイックシューのねじは、折りたたみノブ式になっています。カメラをシューに取り付ける際に、コインは不要。手で取り付けることができます。

このクイックシューはシューを取り外すと、ベースから突起が飛び出し、取り外した状態でレバーが固定される仕組みとなっています。

こうやって、ベースを「パチン」とはめ込むことで…

固定レバーがばねによって戻ります。カメラをはめ込む際に、レバーを解放し続ける必要がなく、利便性が高められています。

【感想】
星空や夜景を、良いカメラで画質よく撮影するために、しっかりしたフルサイズの三脚が欲しいと思っていました。また、その三脚が、旅行カバンにかさばらずに入れば良いのにとも思っていました。その相反する要望を実現した三脚が、この「Velbon UT-34Ⅱ」です。各部の仕上げと操作感覚も良好で「いいもの感」がにじみ出ている商品です。
【関連ページ】
しばし、投稿拠点をシドニーに移します。
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
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カテゴリ: 写真
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