納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その6 完成編)
2018.09.16/Sun/21:15:19
【残作業】
前回までの作業で、スプロケットとクランクが付きました。残る作業はシフト、ブレーキ系の装着・設定です。ロードバイクは車検や認定制度がないため、それらが終われば、ロードバイクは公道を走ることができます。自作の自転車のハードルは低い反面、安全に走れるよう、自己責任が強く求められますね。
【リアディレイラーの取付】
リアディレイラーの取付を行います。

今回の R7000 シリーズの RD-R7000 SS は、ディレイラー本体の車軸方向外側への張り出しをなるべく抑えた「シャドーデザイン」。転倒時や不測の接触時にディレイラーへの影響が少なくなりました。付属品は、シフトアウターケーブル(OT-RS900)とロングノーズ付きアウターキャップです。

重量は 219g。

取付は簡単。リアエンドハンガーにねじ止めするだけです。ネジロックを塗布して装着しました。

【フロントディレイラーの取付】
次にフロントディレイラーです。


付属品は、何やら不思議なアルミ板。マニュアルによると「バックアッププレート」と呼ばれるもの。

ちょっとマニュアルを見ただけでは、このプレートの装着位置が良く分かりませんでした。

さんざ観察して、ようやくわかりました。昔はフロントディレイラーを取り付ける際は「プレートがチェーンリングに平行になるように」取り付けるのが流儀でした。しかし、本製品では、取付時にはわずかにプレート後端がチェーンリングよりも内側に入り込むように角度をつけて設置し、「サポートボルト」という小さなボルトでディレイラーを別の部位から押し広げるようにしてプレートの平行性を確保するようになっています。それによって、ディレイラーの取付角度の剛性を確保する意味合いがあるようです。
したがって、サポートボルトがシートチューブに突き当たる構造になっているので、そのサポートボルトがシートチューブに当たる位置をガードするための部品ということがわかりました。カーボンフレームには必須のパーツですね。無事に取り付けることができました。忘れずにつけることができてよかったです。

一旦仮止めします。

しかし、これでは今回は不足で、フロントディレイラー取付時に一緒に取り付けた部品があります。これです。

(K-Edge チェーンキャッチャー
)
フロントの不正変速時に、チェーンがインナーリングを超えて落ちてしまうことを防止するパーツです。自転車が走るために必須のパーツではありませんが、フロントディレイラー装着時に一緒に付けておく必要があるので、同時装着します。

フレームカラーに合わせてブルーを選びました。このパーツが頻繁に働かないことを祈りますが、付けておけば安心ですし、カッコもいいです。

ちなみに本体が10g。ボルトが長くなるため+1.5g、専用台座受けにするため+0.5g。計12gの増加となります。

【ブレーキの取付】
キャリパーブレーキを取り付けます。

付属品は各種長さのスリーブナットと滑り止め用座金です。

ブレーキは5800系のものとはさほど変わりません。当然 SLR-EV タイプで「退化」はありません。

取り付けシャフトが長い方がフロント用です。その取付方向に対応して、ブレーキパッドの方向も反対にして出荷されていますね。

今回はカーボンホイールで使うため、付属のブレーキシューは使いません。ホイールに付属しているシューに取り替えます。

「Champion Braking Power」とあります。

それほど高級品ではないのでしょうが、カーボンホイール対応品を謳っているので、まずはこれを使います。

フロントは、フォークの厚みが相当あるので最も長いナットを使います。


リアは最も短いナットが適合しました。

【ペダルの取付】
次はクランクにペダルを取り付けます。私はレースはしないため、SPD-SL は使いません。自転車に乗って走りと景色を堪能し、時によっては目的地で、そこなりの楽しみを得るという乗り方なので、SPD タイプがニーズにマッチしています。そこで、両面 SPD タイプの定番「PD-M520」を購入しました。


これも左右でねじ方向が異なっていますので、注意して装着します。ペダルレンチと六角レンチのどちらでも締め付けができます。

【STIレバーとケーブリング】
さて、大詰めです。STI レバーとケーブルを取り付けます。

STIレバーのパッケージには、レバー以外に各種ケーブルセットが同梱されています。

しかし、今回はポリマーコーティングの上位版ケーブルセットを別途購入しました。ケーブルの引きが軽いことにはこだわりたいことが別途購入の理由です。添付品も十分上級グレードで、廉価クラスではありません。近いうちにアルミフレームの Merida の交換用として活用予定です。

STI の重量は左側の方が1g軽いです。恐らく、右側はリア変速の11段メカ、左側はフロント変速のメカのため、構造上の違いがあることに起因しているのだと思います。


取り付けはこのようにゴムブーツを思いっきりめくってボルトを露出させて行います。

一旦ハンドルに通して仮止め。次に乗車姿勢で握ってみて、最もしっくりくる位置に固定します。

ハンドル側のSTI取付位置に滑り止め処理がされているので、特にカーボングリス等の滑り止め剤は使いません。その代わり、トルク管理を行って締め付けます。

5N・mのトルクで固定しました。

STI のケーブル処理は、それなりに苦労しました。ディーラーマニュアルを印刷して、それこそ首っ引きでした。今回の作業の中で最も大変だったかもしれません。また、今回はケーブルがブレーキ、シフトとも内装タイプのため、フレーム内にケーブルを引き込む必要がありました。
数時間はかかっていましたが、余裕がもっともない時間帯でしたので、写真をあまり撮れませんでした(笑)。悪戦苦闘して、STIからケーブルを各部へ引き込んだ状況がこちら。この段階(チェーンとバーテープ装着前)で 7,260g。恐らく、完成車でペダル込みで 7.5kg 水準のロードバイクとなるでしょう。十分軽量です。

その後は日が暮れてしまったので、作業場所を部屋に移し、チェーン装着とディレイラー調整を行いました。ちなみにチェーンは DuraAce グレードの CN-HG901 にしました。軽量化とチェーン表面の潤滑処理に差があったので、上位のチェーンを選びました。

これが、バーテープを巻く直前のようす。ここまでくればできたも同然です。

【バーテープを巻いて完成】
選択したバーテープは、「KINGOUバーテープ
」という EVA 素材の裏面両面テープなしの製品。巻きやすく、まき直しもしやすく安価で気に入りました。

【完成!】
バーテープを巻いて完成しました。構想半年、計画3ヶ月、実施期間2ヶ月、作業期間2週間という最近の人生の中では大きな計画でした。無事に完成して良かったです。

結果としては、206,803円で 7.5kg のフルカーボン・ロードバイクが自作できた、ということになります。このレベルのロードバイクを完成車で購入すると、どうでしょうか、およそ30万円は下らないのではないでしょうか。ただし、私の場合は DIY の精神で、自転車整備の多少の知識があり、工具も一通り持っていたので、ロードバイクの整備の経験がない方が検討する場合の基準にはならないと思います。
【次回】
これで、「走れる」という意味ではロードバイクが完成したのですが、実際にはもう少しアクセサリーが必要です。次回は、追加購入し、一部は装着したアクセサリーを紹介し、さらに、このロードバイクでほんの少し(数キロ)走ってみた感想をまとめたいと思います。
【今回までのパーツ】
バイク本体必須パーツ
メンテ用品(今回新規に購入したもの)
【関連ページ】
ロードバイクのドライブトレイン取替(その5 ケーブル内装ドロップ・ハンドルの取付)
ICAN サイクリング公式ホームページ
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その0)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その1 フレーム編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その2 コラムカット編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その3 ハンドル・サドル装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その4 ホイール装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その5 クランク装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その6 完成編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その7 アクセサリー・試乗編)
----
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
前回までの作業で、スプロケットとクランクが付きました。残る作業はシフト、ブレーキ系の装着・設定です。ロードバイクは車検や認定制度がないため、それらが終われば、ロードバイクは公道を走ることができます。自作の自転車のハードルは低い反面、安全に走れるよう、自己責任が強く求められますね。
【リアディレイラーの取付】
リアディレイラーの取付を行います。

今回の R7000 シリーズの RD-R7000 SS は、ディレイラー本体の車軸方向外側への張り出しをなるべく抑えた「シャドーデザイン」。転倒時や不測の接触時にディレイラーへの影響が少なくなりました。付属品は、シフトアウターケーブル(OT-RS900)とロングノーズ付きアウターキャップです。

重量は 219g。

取付は簡単。リアエンドハンガーにねじ止めするだけです。ネジロックを塗布して装着しました。

【フロントディレイラーの取付】
次にフロントディレイラーです。


付属品は、何やら不思議なアルミ板。マニュアルによると「バックアッププレート」と呼ばれるもの。

ちょっとマニュアルを見ただけでは、このプレートの装着位置が良く分かりませんでした。

さんざ観察して、ようやくわかりました。昔はフロントディレイラーを取り付ける際は「プレートがチェーンリングに平行になるように」取り付けるのが流儀でした。しかし、本製品では、取付時にはわずかにプレート後端がチェーンリングよりも内側に入り込むように角度をつけて設置し、「サポートボルト」という小さなボルトでディレイラーを別の部位から押し広げるようにしてプレートの平行性を確保するようになっています。それによって、ディレイラーの取付角度の剛性を確保する意味合いがあるようです。
したがって、サポートボルトがシートチューブに突き当たる構造になっているので、そのサポートボルトがシートチューブに当たる位置をガードするための部品ということがわかりました。カーボンフレームには必須のパーツですね。無事に取り付けることができました。忘れずにつけることができてよかったです。

一旦仮止めします。

しかし、これでは今回は不足で、フロントディレイラー取付時に一緒に取り付けた部品があります。これです。

(K-Edge チェーンキャッチャー
フロントの不正変速時に、チェーンがインナーリングを超えて落ちてしまうことを防止するパーツです。自転車が走るために必須のパーツではありませんが、フロントディレイラー装着時に一緒に付けておく必要があるので、同時装着します。

フレームカラーに合わせてブルーを選びました。このパーツが頻繁に働かないことを祈りますが、付けておけば安心ですし、カッコもいいです。

ちなみに本体が10g。ボルトが長くなるため+1.5g、専用台座受けにするため+0.5g。計12gの増加となります。

【ブレーキの取付】
キャリパーブレーキを取り付けます。

付属品は各種長さのスリーブナットと滑り止め用座金です。

ブレーキは5800系のものとはさほど変わりません。当然 SLR-EV タイプで「退化」はありません。

取り付けシャフトが長い方がフロント用です。その取付方向に対応して、ブレーキパッドの方向も反対にして出荷されていますね。

今回はカーボンホイールで使うため、付属のブレーキシューは使いません。ホイールに付属しているシューに取り替えます。

「Champion Braking Power」とあります。

それほど高級品ではないのでしょうが、カーボンホイール対応品を謳っているので、まずはこれを使います。

フロントは、フォークの厚みが相当あるので最も長いナットを使います。


リアは最も短いナットが適合しました。

【ペダルの取付】
次はクランクにペダルを取り付けます。私はレースはしないため、SPD-SL は使いません。自転車に乗って走りと景色を堪能し、時によっては目的地で、そこなりの楽しみを得るという乗り方なので、SPD タイプがニーズにマッチしています。そこで、両面 SPD タイプの定番「PD-M520」を購入しました。


これも左右でねじ方向が異なっていますので、注意して装着します。ペダルレンチと六角レンチのどちらでも締め付けができます。

【STIレバーとケーブリング】
さて、大詰めです。STI レバーとケーブルを取り付けます。

STIレバーのパッケージには、レバー以外に各種ケーブルセットが同梱されています。

しかし、今回はポリマーコーティングの上位版ケーブルセットを別途購入しました。ケーブルの引きが軽いことにはこだわりたいことが別途購入の理由です。添付品も十分上級グレードで、廉価クラスではありません。近いうちにアルミフレームの Merida の交換用として活用予定です。

STI の重量は左側の方が1g軽いです。恐らく、右側はリア変速の11段メカ、左側はフロント変速のメカのため、構造上の違いがあることに起因しているのだと思います。


取り付けはこのようにゴムブーツを思いっきりめくってボルトを露出させて行います。

一旦ハンドルに通して仮止め。次に乗車姿勢で握ってみて、最もしっくりくる位置に固定します。

ハンドル側のSTI取付位置に滑り止め処理がされているので、特にカーボングリス等の滑り止め剤は使いません。その代わり、トルク管理を行って締め付けます。

5N・mのトルクで固定しました。

STI のケーブル処理は、それなりに苦労しました。ディーラーマニュアルを印刷して、それこそ首っ引きでした。今回の作業の中で最も大変だったかもしれません。また、今回はケーブルがブレーキ、シフトとも内装タイプのため、フレーム内にケーブルを引き込む必要がありました。
数時間はかかっていましたが、余裕がもっともない時間帯でしたので、写真をあまり撮れませんでした(笑)。悪戦苦闘して、STIからケーブルを各部へ引き込んだ状況がこちら。この段階(チェーンとバーテープ装着前)で 7,260g。恐らく、完成車でペダル込みで 7.5kg 水準のロードバイクとなるでしょう。十分軽量です。

その後は日が暮れてしまったので、作業場所を部屋に移し、チェーン装着とディレイラー調整を行いました。ちなみにチェーンは DuraAce グレードの CN-HG901 にしました。軽量化とチェーン表面の潤滑処理に差があったので、上位のチェーンを選びました。

これが、バーテープを巻く直前のようす。ここまでくればできたも同然です。

【バーテープを巻いて完成】
選択したバーテープは、「KINGOUバーテープ

【完成!】
バーテープを巻いて完成しました。構想半年、計画3ヶ月、実施期間2ヶ月、作業期間2週間という最近の人生の中では大きな計画でした。無事に完成して良かったです。

結果としては、206,803円で 7.5kg のフルカーボン・ロードバイクが自作できた、ということになります。このレベルのロードバイクを完成車で購入すると、どうでしょうか、およそ30万円は下らないのではないでしょうか。ただし、私の場合は DIY の精神で、自転車整備の多少の知識があり、工具も一通り持っていたので、ロードバイクの整備の経験がない方が検討する場合の基準にはならないと思います。
【次回】
これで、「走れる」という意味ではロードバイクが完成したのですが、実際にはもう少しアクセサリーが必要です。次回は、追加購入し、一部は装着したアクセサリーを紹介し、さらに、このロードバイクでほんの少し(数キロ)走ってみた感想をまとめたいと思います。
【今回までのパーツ】
バイク本体必須パーツ
メンテ用品(今回新規に購入したもの)
用品 | 製品名 | 購入価格 |
---|---|---|
メンテスタンド | 【World box】自転車メンテナンススタンド | 6,980円 |
自転車用ガラス系コーティング剤 | AZ BCT-001 アクアシャインコート | 980円 |
クリーニングキット | AZ 自転車オールメンテナンス5点セット | 2,329円 |
マイクロファイバークロス | レック 激落ちマイクロファイバー 10枚入 | 534円 |
吊り下げ計り | Philonext 荷物はかり | 839円 |
コラムカット用金ノコ | Z ハイスパイマン | 1,170円 |
ソーガイド | GIZA PRODUCTSソーガイダー ブルーチェック | 1,814円 |
万力 | エンジニア アンヴィルバイス TV-12 | 1,963円 |
トルクレンチ | PWTイージートルクレンチキットTW112 | 1,388円 |
ネジロック | LOCTITEねじロック 243 中強度タイプ | 609円 |
合計 | 18,606円 |
【関連ページ】
ロードバイクのドライブトレイン取替(その5 ケーブル内装ドロップ・ハンドルの取付)
ICAN サイクリング公式ホームページ
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その0)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その1 フレーム編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その2 コラムカット編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その3 ハンドル・サドル装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その4 ホイール装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その5 クランク装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その6 完成編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その7 アクセサリー・試乗編)
----
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
カテゴリ: 自転車・アウトドア
go page top
« 納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その7 アクセサリー・試乗編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その5 クランク装着編) »
この記事に対するコメント
go page top
トラックバック
承認制としています。無関係なものは承認されない場合があります。
トラックバックURL
→https://ace.reviewmagic.jp/tb.php/767-322ab670
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバックURL
→https://ace.reviewmagic.jp/tb.php/767-322ab670
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| h o m e |