納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その5 クランク装着編)
2018.09.09/Sun/23:00:45
![]() | 納得の予算でフルカーボン・ロードバイクを自作しようという計画。今回は新発売の SHIMANO 105 R7000 シリーズのコンポーネント(駆動系)を組んで、いよいよ実走行可能なバイクに仕立てます。ページボリュームの関係上、今回はスプロケットとクランクの装着まで。最後の仕立ては次回の予定です。 |
【駆動系は新型 105 R7000 シリーズ】
フレームセットとホイールが組み合わされ、あとは駆動系(トランスミッションとブレーキ)です。ブランドを決めなければなりませんが、私としては慣れ親しんだ SHIMANO にすることは決まっていて、グレードと世代をどうするか考えていました。DuraAce は今回の「納得の予算で」というコンセプトには合致しません。Ultegra でも少々高いと感じました。せっかくのカーボンフレームに 10速 Tiagra はちょっと不釣り合いと考え、105 シリーズを装着しようと落ち着きました。
調べてみると、105 シリーズは 6月に R7000系が発表され、R5800系からグレードアップされました。大きな違いはクランクアームが幅広化され、剛性が高まったことと、リアディレイラーがステルスタイプに変更され、ノーマルキャパシティの SS タイプで、リアスプロケットが 30T までサポートされたことです。さらに全体的に軽量化が施されたこともあり、この新型 R7000シリーズのコンポを使うことに決めました。6月発表と言えども、納期は長めで、すべてのパーツが揃ったのは発注後1ヶ月した 9月初めでした。

【トルクレンチの準備】
カーボンフレームは樹脂で固めたカーボン素材でできています。鉄パイプというよりも、言わば塩ビのパイプに似たようなもので、いくら強靭だと言われていても、アルミや鉄と違い、意図しない部分と方向の応力には極めて弱いものです。特に問題なのが、パイプに対して垂直方向の力です。横向きに押したり、パイプを締めたりする方向ですね。六角レンチでクランプ等を本締めする場合はトルク管理が大事になってきます。
そこで必要なのは「トルクレンチ」。今回私はこのようなシャフトのねじれを利用してトルク管理する簡易的なレンチを買いました。

(PWT イージートルクレンチキット
)
自転車の整備によく使われる 3/4/5/6mmヘックス、T25 のビットがハンドル部分に内蔵されています。適用トルク範囲は 1~12(N・m)で、これもまた自転車の整備向きです。これの良い所は…

シートポストクランプやハンドルステムなど、トルク管理が必要な部分の本締めには、このトルクレンチを使いました。
【ネジロック】
トルク管理をすべき場所のボルトにはグリスを塗ることが多いため、上記のトルク管理が必要な部分とは排他的な場所が多いですが、リアディレイラーをハンガーに接続する部分のボルトやブレーキシューの固定ねじ、ディレイラーの可動範囲調整ボルトなど、一旦留めたらボルトが緩んだり、再度ずれてしまったりしたくない部分には「ネジロック」を塗布しておくと便利です。ある種の接着剤なのですが、ボルトを意図的に緩めたい場合は問題なく再調整できる代物です。要所要所にはこのネジロックも塗布しています。

(LOCTITE ねじロック 243 中強度タイプ
)
【スプロケットの装着】
コンポーネントの装着に取り掛かります。取り付け順序には決定的な決まりがあるわけではないでしょうが、最後がチェーン装着、その直前がケーブリングという順序は守った方が組み立ての煩雑さを回避できます。そこで、まずはリアスプロケットとフロントクランクの装着から始めます。

リアスプロケットは 11-30T を購入。今回の R7000 シリーズの 105 では SSタイプのディレイラーで、30Tがサポートされるようになったので、まずはこれを購入。 平地だけなら 12-25T を付けると非常に滑らかに気持ちよく走れるのですが、30T があれば山道も登れるので汎用性を重視。当面はスプロケはこれ一つで済まそうと考えています。

(CS-R7000 11-30T のワイドレシオ版)

(実測値 294g)
このスプロケの構造は、ロー側3枚は一体構造。

それ以外はギアとスペーサー分離型なので、4枚目以降は1枚ずつハブに入れていくことになります。

11枚目まで入れ終わったら、ロックリングを締めます。

そのロックリングを締めるために絶対必要なのがこれ。ロックリング取付け、取り外しツールです。

(BIKE HAND YC-501A/YC-126-2A SET
)
ロックリングの取付けの場合は、ラチェットが回らない方向なので、このツール一本で締め込むことができます。

【BB の装着】
次に BB(ボトム・ブラケット)の装着です。今回使ったのは BSE(ねじ込み)タイプの SM-BBR60
。非常にコスパに優れた商品です。

(SHIMANO SM-BBR60 BSR
)

(SHIMANO SM-BBR60 BSR
)
BSR タイプはねじ込み式なので、まずは手でねじ込んでゆきます。左右の別がありますので注意(右側は逆ねじ)。ねじ切りが正確だったので、手で最後までスルスルと入りました。

あとは専用工具の出番となります。ホローテック2用ねじ込みツールを使って締め込みます。指定トルクは30~50N・mなので、ぐっと体重をかけるレベルの締め込みが必要です。

装着完了。このフレームはきちんとフェイシング処理されていたので、BB の装着は問題なく完了しました。

【クランクの装着】
BB が付いたので、クランクを装着します。R7000 シリーズの FC-R7000 です(170mmタイプ)。

(SHIMANO 105 FC-R7000 50×34T
)
このパーツはさすがに重量級ですね。実測値 721g でした。

クランクシャフトをBBの穴に通します。特に力は要りません。精度が高いのでスルッと入り、がたつきはありません。

シャフトを完全に奥まで突き当てるように最後まで押し込み、反対側のクランクを取り付けます。考慮された刻みがあるので、ちょうと180°の角度でしか入らないようになっています。こちらも、突き当たるまでしっかりと奥まで差し込みます。

あとは 5mm の六角レンチでクランクを固定して行きます。2本のボルトがあり、これを「交互に」少しずつ締めてゆきます。締め付け部位に偏りがないように、少しずつ交互に締めてゆくことが重要です。

締め付けが完了したら、センターキャップを取り付けます。これは樹脂製で、単なるカバーであるので強く締める必要はありません。

BIKEHAND のホローテック締め付け工具には、このセンターキャップを締め付けるためのツールが付いていますので、これを使って手で適度な力で締めてあげればOK。

今回はここまで。

【次回】
さて、次回は駆動系(ペダル、チェーン、変速機等)、ブレーキ類(ブレーキ、ケーブル等)を取り付け、「乗れる自転車」としての最後の仕上げを行います。楽しみです。
【今回までのパーツ】
バイク本体必須パーツ
メンテ用品(今回新規に購入したもの)
【関連ページ】
ロードバイクのドライブトレイン取替(その5 ケーブル内装ドロップ・ハンドルの取付)
ICAN サイクリング公式ホームページ
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その0)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その1 フレーム編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その2 コラムカット編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その3 ハンドル・サドル装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その4 ホイール装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その5 クランク装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その6 完成編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その7 アクセサリー・試乗編)
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
フレームセットとホイールが組み合わされ、あとは駆動系(トランスミッションとブレーキ)です。ブランドを決めなければなりませんが、私としては慣れ親しんだ SHIMANO にすることは決まっていて、グレードと世代をどうするか考えていました。DuraAce は今回の「納得の予算で」というコンセプトには合致しません。Ultegra でも少々高いと感じました。せっかくのカーボンフレームに 10速 Tiagra はちょっと不釣り合いと考え、105 シリーズを装着しようと落ち着きました。
調べてみると、105 シリーズは 6月に R7000系が発表され、R5800系からグレードアップされました。大きな違いはクランクアームが幅広化され、剛性が高まったことと、リアディレイラーがステルスタイプに変更され、ノーマルキャパシティの SS タイプで、リアスプロケットが 30T までサポートされたことです。さらに全体的に軽量化が施されたこともあり、この新型 R7000シリーズのコンポを使うことに決めました。6月発表と言えども、納期は長めで、すべてのパーツが揃ったのは発注後1ヶ月した 9月初めでした。

【トルクレンチの準備】
カーボンフレームは樹脂で固めたカーボン素材でできています。鉄パイプというよりも、言わば塩ビのパイプに似たようなもので、いくら強靭だと言われていても、アルミや鉄と違い、意図しない部分と方向の応力には極めて弱いものです。特に問題なのが、パイプに対して垂直方向の力です。横向きに押したり、パイプを締めたりする方向ですね。六角レンチでクランプ等を本締めする場合はトルク管理が大事になってきます。
そこで必要なのは「トルクレンチ」。今回私はこのようなシャフトのねじれを利用してトルク管理する簡易的なレンチを買いました。

(PWT イージートルクレンチキット
自転車の整備によく使われる 3/4/5/6mmヘックス、T25 のビットがハンドル部分に内蔵されています。適用トルク範囲は 1~12(N・m)で、これもまた自転車の整備向きです。これの良い所は…
- 安いこと(2,000円未満)
- 校正(キャリブレーション)が不要なこと

シートポストクランプやハンドルステムなど、トルク管理が必要な部分の本締めには、このトルクレンチを使いました。
【ネジロック】
トルク管理をすべき場所のボルトにはグリスを塗ることが多いため、上記のトルク管理が必要な部分とは排他的な場所が多いですが、リアディレイラーをハンガーに接続する部分のボルトやブレーキシューの固定ねじ、ディレイラーの可動範囲調整ボルトなど、一旦留めたらボルトが緩んだり、再度ずれてしまったりしたくない部分には「ネジロック」を塗布しておくと便利です。ある種の接着剤なのですが、ボルトを意図的に緩めたい場合は問題なく再調整できる代物です。要所要所にはこのネジロックも塗布しています。

(LOCTITE ねじロック 243 中強度タイプ
【スプロケットの装着】
コンポーネントの装着に取り掛かります。取り付け順序には決定的な決まりがあるわけではないでしょうが、最後がチェーン装着、その直前がケーブリングという順序は守った方が組み立ての煩雑さを回避できます。そこで、まずはリアスプロケットとフロントクランクの装着から始めます。

リアスプロケットは 11-30T を購入。今回の R7000 シリーズの 105 では SSタイプのディレイラーで、30Tがサポートされるようになったので、まずはこれを購入。 平地だけなら 12-25T を付けると非常に滑らかに気持ちよく走れるのですが、30T があれば山道も登れるので汎用性を重視。当面はスプロケはこれ一つで済まそうと考えています。

(CS-R7000 11-30T のワイドレシオ版)

(実測値 294g)
このスプロケの構造は、ロー側3枚は一体構造。

それ以外はギアとスペーサー分離型なので、4枚目以降は1枚ずつハブに入れていくことになります。

11枚目まで入れ終わったら、ロックリングを締めます。

そのロックリングを締めるために絶対必要なのがこれ。ロックリング取付け、取り外しツールです。

(BIKE HAND YC-501A/YC-126-2A SET
ロックリングの取付けの場合は、ラチェットが回らない方向なので、このツール一本で締め込むことができます。

【BB の装着】
次に BB(ボトム・ブラケット)の装着です。今回使ったのは BSE(ねじ込み)タイプの SM-BBR60

(SHIMANO SM-BBR60 BSR

(SHIMANO SM-BBR60 BSR
BSR タイプはねじ込み式なので、まずは手でねじ込んでゆきます。左右の別がありますので注意(右側は逆ねじ)。ねじ切りが正確だったので、手で最後までスルスルと入りました。

あとは専用工具の出番となります。ホローテック2用ねじ込みツールを使って締め込みます。指定トルクは30~50N・mなので、ぐっと体重をかけるレベルの締め込みが必要です。

装着完了。このフレームはきちんとフェイシング処理されていたので、BB の装着は問題なく完了しました。

【クランクの装着】
BB が付いたので、クランクを装着します。R7000 シリーズの FC-R7000 です(170mmタイプ)。

(SHIMANO 105 FC-R7000 50×34T
このパーツはさすがに重量級ですね。実測値 721g でした。

クランクシャフトをBBの穴に通します。特に力は要りません。精度が高いのでスルッと入り、がたつきはありません。

シャフトを完全に奥まで突き当てるように最後まで押し込み、反対側のクランクを取り付けます。考慮された刻みがあるので、ちょうと180°の角度でしか入らないようになっています。こちらも、突き当たるまでしっかりと奥まで差し込みます。

あとは 5mm の六角レンチでクランクを固定して行きます。2本のボルトがあり、これを「交互に」少しずつ締めてゆきます。締め付け部位に偏りがないように、少しずつ交互に締めてゆくことが重要です。

締め付けが完了したら、センターキャップを取り付けます。これは樹脂製で、単なるカバーであるので強く締める必要はありません。

BIKEHAND のホローテック締め付け工具には、このセンターキャップを締め付けるためのツールが付いていますので、これを使って手で適度な力で締めてあげればOK。

今回はここまで。

【次回】
さて、次回は駆動系(ペダル、チェーン、変速機等)、ブレーキ類(ブレーキ、ケーブル等)を取り付け、「乗れる自転車」としての最後の仕上げを行います。楽しみです。
【今回までのパーツ】
バイク本体必須パーツ
パーツ名 | 製品名 | 購入価格 | 重量 |
---|---|---|---|
フレームセット(ヘッドパーツ込) | ICAN 2017-AC18 | 52,870円 | 1,451g (コラムカット後) |
カーボンステム | RXL SL ロード自転車カーボンステム | 3,229円 | 137g |
スペーサー | カーボンファイバー製自転車 スペーサー5個セット | 460円 | 24g |
ハンドル | RXL SL カーボン ハンドル | 5,359円 | 184g |
シート | zroot超軽量フルカーボンサドル | 3,000円 | 125g |
シートポスト | RXL SL シートポストRXL1701 | 3,799円 | 195g |
シートクランプ | カーボン シートクランプ 34.9mm龜旅 | 1,560円 | 14g |
前後ホイール(クイックシャフト込) | ICANカーボン38mm深 クリンチャーホイールセット | 45,862円 | 1,607g |
リムテープ(2本) | シマノロード用リムテープ700cx16mm(2本入) | 798円 | 32g |
タイヤチューブ(2本) | Panaracerチューブ R'AIR 700x23~28C] 2ピースバルブ仏式34mm | 3,176円 | 153g |
タイヤ(2本) | Panaracer RACE A EVO3 700×25C ブラック | 9,072円 | 482g |
バルブ・エクステンダー(2本セット) | Panaracerバルブエクステンダー2本セット [20mm] | 1,436円 | 2g |
タイヤ内空気 | 前輪7気圧、後輪7.5気圧 | 0円 | 17g |
バランスウエイト | DAIYAバランス調整鉛(2セット) | 600円 | 17g |
スプロケット | SHIMANO 105 CS-R7000 11-30T | 4,894円 | 294g |
ボトムブラケット | SHIMANO SM-BBR60 BSA | 2,073円 | 76g |
クランクセット | SHIMANO 105 FC-R7000 50×34T | 13,968円 | 721g |
合計 | 152,156円 | 5,531g |
メンテ用品(今回新規に購入したもの)
用品 | 製品名 | 購入価格 |
---|---|---|
メンテスタンド | 【World box】自転車メンテナンススタンド | 6,980円 |
自転車用ガラス系コーティング剤 | AZ BCT-001 アクアシャインコート | 980円 |
クリーニングキット | AZ 自転車オールメンテナンス5点セット | 2,329円 |
マイクロファイバークロス | レック 激落ちマイクロファイバー 10枚入 | 534円 |
吊り下げ計り | Philonext 荷物はかり | 839円 |
コラムカット用金ノコ | Z ハイスパイマン | 1,170円 |
ソーガイド | GIZA PRODUCTSソーガイダー ブルーチェック | 1,814円 |
万力 | エンジニア アンヴィルバイス TV-12 | 1,963円 |
トルクレンチ | PWTイージートルクレンチキットTW112 | 1,388円 |
ネジロック | LOCTITEねじロック 243 中強度タイプ | 609円 |
合計 | 18,606円 |
【関連ページ】
ロードバイクのドライブトレイン取替(その5 ケーブル内装ドロップ・ハンドルの取付)
ICAN サイクリング公式ホームページ
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その0)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その1 フレーム編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その2 コラムカット編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その3 ハンドル・サドル装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その4 ホイール装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その5 クランク装着編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その6 完成編)
納得の予算で納得のフルカーボンロードバイクを組み立てる(その7 アクセサリー・試乗編)
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
カテゴリ: 自転車・アウトドア
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