携帯音楽プレーヤーのバッテリー交換
2015.09.25/Fri/00:26:07
ちょっと前に、秋葉原あたりのジャンク放出品として Transcend の廉価版 MP3 プレイヤー MP300 が中古で出ていたので衝動買い。時々利用していました。

これは、Transcend のデジタルミュージックプレイヤーのラインナップとしても最エントリークラスのもので、表示用の液晶ディスプレイもなく、アルバム選択機能もなく、ただただ本体内音楽を再生する機能に特化したモデルです。
参考: Transcend マルチメディア・プレイヤー機能比較表
最低限の表示素子ということで、緑と赤のステータス表示用 LED が付いていて、充電中は赤、充電完了は緑になって知らせます。ところが、最近充電確認用 LED が赤からすぐに緑になり、充電されてないのに充電終了という状態になってしまいました。
「ああ、これはバッテリーの寿命だな」と判断し、「どうせ捨てるのなら分解してみよう」ということで、分解してみたわけです。結果的にバッテリーは交換できましたが、分解を始める段階では、捨てるつもりで始めました。
【内部構造】
まず、この手の記事を書く上で欠かせない「ディスクレイマー(免責・注意文言)」です。
<記事内容についてお願い>
この記事では市販商品の分解・改造を行っています。この種の商品では商品外装を開けただけで保証の対象外となり、一切のメーカーサポートが受けられなくなる可能性があります。また、本記事ではリチウムポリマー型充電式バッテリーの交換に触れています。一般に充電池を純正品以外に交換する場合は発熱・焼損などのリスクが生じます。特に本製品に内蔵されているリチウムポリマー型二次電池はエネルギー密度が高く、過充電や短絡、衝撃を加えると、急激な温度上昇・発火・破裂に至る可能性があります。本記事は情報提供のみを主眼とし、読者に同様な分解・交換を推奨するものではありません。同様な作業をする場合は、完全に自己責任において実施するようお願いします。
本製品の重要はたったの15g。一本もねじを使ってはいません。つまりユーザーによる分解を前提としてなく、プラスチック筐体のツメの噛み合わせでケースが閉じられています。したがって、この主の筐体を開けるには、人間の爪や精密ドライバーなどを駆使し、時には筐体噛み合わせ部分を押したり引いたりしながら、どこが噛み合っているのかを突き止める必要があります。構造を熟知しないと、ねじ止め以外の商品は噛み合わせ部分を損傷してしまいますね。
いろいろ行った結果、このあたりから開きそうです。

開きました。操作部のシリコンゴム、基盤接点、さらにバッテリーが見えます。基盤は1枚。この側には水晶やアナログトランジスタ(?)の実装が認められるものの、重要な素子は見られません。

基盤の表面にはLSIが2つ。

一つは8GBのFlashメモリーモジュール。Micron Technology 社製で「29F64G08CBABA」の刻印があります。隣にあるのは Artek社のマルチメディア処理LSI AK2117C です。

ソニーが昔、カセットテープ(死語?)でウォークマンを作りましたが、あれはメカの微細実装技術とアナログ音楽信号制御技術の結晶でした。しかし、今やこんなIC一つとメモリーで、1,500曲も入る音楽プレイヤーができてしまう世の中になりました。コアLSIさえあれば、こんな商品を作るのには、すでに高度な技術は必要ありません。このような商品市場では技術的付加価値が付けずらくなっています。
デジタル化されてゆく市場では、一時、画期的技術で高水準の利益を上げていても、常に市場動向を見ながら動き続けていないと、すぐに「レッド・オーシャン」になってしまいます。厳しい世の中になりました。デジタルの世界では「技術」を打ち出してお金は長くもらい続けることはできませんね。「ビジネス」で儲けないと...。
話を戻して、内蔵バッテリーを見てみます。「PR-051230」「3.7V 0.5Wh」という刻印が見られます。この段階で、このバッテリーは 3.7V タイプのリチウムポリマータイプのバッテリであることがわかります。これなら交換できそうです。
しかし、ネットで探してみても、同じ型番のバッテリーは日本では入手困難なようです。したがって、同等のサイズのバッテリーを探すことにします。サイズは縦がおよそ 12mm。

横がおよそ 32mm です。

【バッテリー交換】
秋葉原で同じサイズのバッテリーを調達しました。同じ規格ではありませんが、電圧とサイズが合えば何とかなりそうです。

劣化したバッテリーを取り外します。接続は基盤のこの部分です。

電源ケーブルの基盤からの脱着には「はんだごて」が必要です。はんだごてを当てながらリード線を引き抜く必要がありますが、私は手が2つしかない(笑)ので、このような時は基盤を小型万力で固定します。

バッテリーリードを取り外す「前」に赤と黒のケーブルの位置を写真に撮るなどして「確実に」確認しておきます。逆に接続すると何が起こるかわかりません(特に充電時)。

バッテリーが外れました。リード線をショートさせないように注意します。

調達した新しいバッテリーにはコネクターが付いています。基盤にリードをはんだ付けするので、コネクターは不要です。ニッパーで切り落とします。その際には、2本一緒に「パチン」とやってしまうと「ショート」が発生して危険です。リード線の切断は必ず「1本ずつ」行うようにします。

リード線を抜いただけだと、基盤上の接続部分は「はんだ」でふさがれてしまっています。はんだごてで熱しながらリード線を「差し入れる」高等技術があれば良いのですが、私には自信がないので一旦接続部のホールのはんだを除去しました。除去の方法は最も一般的な「はんだ吸収用銅テープ」を使っています。

接続部に穴が開けば、リード線を手でゆっくり差し入れ、はんだ付けします。このとき、リード線の色(プラスとマイナス)の位置が、元の位置と同じであることを慎重に確認する必要があります。

新バッテリーの接続が完了しました。この段階で、動作確認を行います。ドキドキしながらディップスイッチを入れましたが、無事にLED(基盤左下部)が点灯。通電されたことが確認できました。

あとは、基盤とバッテリーをケースに収め...。

カバーを「パチン」と閉めればOKです。元通り音楽の転送や演奏ができるようになり、修理は完了しました。これで延命できたので、また当分使い続けることができます。

【旧バッテリーの処分】
元の古いバッテリーは、そのまま捨てるのは危険です。ネットでは塩水に1日漬けておくという意見もありましたが、私はともかくショートや衝撃から保護するという観点で処理しました。下記のようにリード線の端を電工用ビニールテープで絶縁し....。

ショートしないように本体の片面に固定し...。

さらに、浸水ショートしないように、本体をビニールテープでぐるぐる巻きにしました。

あとは自治体の方針に沿った形で廃棄処分する予定です。
【まとめ】
買えば数千円程度の MP3 プレイヤーをこれだけの手間とリスクをかけて直すべきかどうかは悩みました。ただ、向学の一環として直してみました。15g の超小型・超軽量・高音質のプレイヤーなので、ポケットに入れても存在感を感じません。スポーツや散歩などの友にしています。
【関連ページ】
MR-G の二次電池を交換する
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SANYO のハンディークリーナー SC-JP1 のバッテリー交換
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
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この記事に対するコメント
参考になりました
ありがとうございました。MP3のバッテリーが既製品だと良いのですけどね。SHARP MP-E200-Sでトライします。もちろん自己責任でね。
2017/10/24 19:30 * 編集 *
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