後輪リムの交換と内装3速変速機のオーバーホール
2015.08.22/Sat/20:46:24
【アルミリムの寿命】
何年も自転車に乗っていると、何もアクシデントを起こさなくても、自然と部品の寿命に遭遇することになります。消耗品であるタイヤやチューブ、ワイヤー類、ブレーキゴム等は頻繁に交換することになりますが、それ以外の部品も長年利用していると劣化して交換しなくてはならない状況になります。リムもその一つでしょう。
かつて前輪のリムが摩耗し側面が断裂。交換を余儀なくされました。

関連ページ: 前輪アルミリムの交換
アルミリムとリム側面にブレーキシューを押し付けるタイプのブレーキの組み合わせを長年使っていると、リム側面が少しずつ摩耗してゆきます。そのため、いつかはリム側面のアルミが薄くなり、最後には破損(断裂)してしまいます。
ロードバイク用の一部のアルミリムでは、その摩耗度合いを検知し、大事に至る前に交換することを促すため、リム側面にポンチ穴が施されています。

(SHIMANO RS21 のリム側面に設けられた摩耗検知用ポンチマーク)
リム側面が摩耗し、このポンチ穴が消滅したときが、ホイールあるいはリムの交換タイミングだということをお知らせする仕組みです。
【16インチ後輪リムの破損】
約1年半前に前輪のリムの寿命が来ているため、後輪もいつかは、と思っていました。私が使っている折りたたみ小径車の16インチアルミリムは、前述のようなポンチ穴はなく、リム側面の状態は見て把握するしかありません。リムの交換は面倒なので、リム側面が湾曲し始めたので「そろそろか」とは考えていましたが、事前交換までは踏み切れずにいました。
そうしている間に、いつぞや「どうも後輪が一回転するたびにブレーキシューにリムが当たるなー」と思ってみてみると、こうなっていました。

リムの外周部が 3cm ほど断裂し、タイヤの空気圧で外側に押し出されています。このためこの部分がブレーキシューに当たっていた状況でした。

今回も大事に至らずに気づいて良かったです。
【リム交換】
交換用に新しいリムを調達します。この小径車、16インチリムです。

スポークを再利用するためには、リムの外径だけではなく、リムハイトも同一である必要があります。したがって、同じ形状のリムを入手する必要があります。このような一般車(子供用自転車)タイプの16インチアルミリムは、一般自転車店はおろか、通販でもあまり売られていません。ヤフオクで何とか「完組」ホイールを入手し、それをばらしてリムだけ使うことにしました。

後輪をフレームから外し、内装変速機を取り出します。すると、内装変速機のハブシェルとリムとスポークだけになります。

この状態だと、ハブシェル内部の空転防止用ラチェット受けもよく見えます。


スポークを抜く前に必ずやるべきこと。それは「写真を撮る」ことです。後輪ハブは28Hの4本組(2交差)であることはわかっていますが、できれば「前と全く同じに」組みたいもの。したがって、ホイールの右側、左側のスポークの組み方がわかるように、写真を撮っておきます。

(ホイール左側)

(ホイール右側)
写真を撮ったら、このようにスポークを順次外してゆきます。

すべてのニップルを取った段階です。スポークは再利用しますので、丁寧にハブシェルから取り外して保存します。

ここで、新旧のリムの重さを測ってみました。今まで利用していた旧リムは215g。

それに対して新規調達したリムは 39g 重く、254g でした。ホイール外周の重量が 39g 増加するのは残念ですが、選択肢がなかったので仕方ないです。

スポークの長さを変えて新規調達も覚悟すれば、Alexrim DA16 16インチあたりのリムも考えたのですが、商品紹介ページを見ると、重量は260gとあります。したがって「仕方ない」と割り切りました。
あとは前もって撮っておいた写真と見比べながらスポークを組んでゆきます。

片面(左側)終了です。引き続き反対側です。

反対側を組み上げたところ、ちょっと失敗。空気入れの接続部分をバルブに無理なく入れるため、バルブ穴の部分のスポークの配置は広く開けるようにしなければならないところ、十分にスポークの位置関係を確認せず、安易に反対側を組んでしまいました。やり直しです。

やり直しました。これでOKです。

【スターメーアーチャー内装変速機 AW-3 のオーバーホール】
変速機を取り外したので、一緒に内装変速機 "AW-3" を徹底的にオーバーホールすることにしました。分解については、かつてブログに書きましたのでここでは割愛しますが、この AW-3、Shimano やローロフなど、もっと複雑な内装変速機と異なり、素人でも分解できます。

総部品点数 50程度。ばらして部品を洗浄し、自分で組み上げることができるので、愛着も出てきます。ただし、分解時に特に注意しなければならないのは、この合計4本あるラチェット用スプリング。

このスプリングは非常に小さく細いため、想定外の力が加わると、すぐに破損してしまいます。また、分解時には油まみれのラチェットや軸と一緒になっているため、気を抜くと衣服や手に付いたりして行方が分からなくなります。この AW-3 を分解する場合は、本体を取り出したら、まず第一にこのラチェット用スプリング(Pawl Spring)を4つ確保し、紛失しないような小皿に分けておくことをお勧めします。
今回は、久々のオーバーホールなので、各部品を超音波洗浄装置でクリーニングしました。

パーツクリーナーで洗浄したものでも、超音波洗浄装置にかけると、隠れている部分の油脂が水中の煙のように溶出してきます。



これはちょっとやりすぎで、通常はパーツクリーナーで洗えば十分だと思いますが、たまのオーバーホールなので愛情を注いでみたということです(笑)。
アウターキャップとボールリングの間のベアリングボールケージのベアリングボールが、グリス切れでこんなに劣化していました。

このベアリングボールは自転車用に一般的に利用されている 3/16 インチサイズです。さび付いたベアリングのまま組み上げたくはありません。東急ハンズ渋谷店で入手できたので助かりました。

これで OK。内装ギアを組み上げることできます。

無事に後輪のリムを交換し、内装ギアもオーバーホール完了しました。

あとはフレームに組み付け、最後の苦行「振れ取り」を行います。非常に地道な作業です。夏の暑い盛りに、外でこれらをずっとやっていたため、熱中症になりかけました。危なかったです。
実際走ってみると、丁寧にメンテしたおかげもあってスムーズな走行がよみがえりました。手を掛けた甲斐がありました。
【関連ページ】
スターメーアーチャー AW-3 のコアパーツの交換
前輪アルミリムの交換
スターメー・アーチャー AWタイプ 内装3段変速機のメンテナンス
スターメーアーチャーの「カラ割り」をしてみた
スターメー・アーチャー AW-3 のオーバーホール
スターメー・アーチャー内装3段変速機の変速ワイヤーの交換
スターメー・アーチャーのハブナットの交換
家庭用超音波クリーナー 東芝 TKS-210
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
何年も自転車に乗っていると、何もアクシデントを起こさなくても、自然と部品の寿命に遭遇することになります。消耗品であるタイヤやチューブ、ワイヤー類、ブレーキゴム等は頻繁に交換することになりますが、それ以外の部品も長年利用していると劣化して交換しなくてはならない状況になります。リムもその一つでしょう。
かつて前輪のリムが摩耗し側面が断裂。交換を余儀なくされました。

関連ページ: 前輪アルミリムの交換
アルミリムとリム側面にブレーキシューを押し付けるタイプのブレーキの組み合わせを長年使っていると、リム側面が少しずつ摩耗してゆきます。そのため、いつかはリム側面のアルミが薄くなり、最後には破損(断裂)してしまいます。
ロードバイク用の一部のアルミリムでは、その摩耗度合いを検知し、大事に至る前に交換することを促すため、リム側面にポンチ穴が施されています。

(SHIMANO RS21 のリム側面に設けられた摩耗検知用ポンチマーク)
リム側面が摩耗し、このポンチ穴が消滅したときが、ホイールあるいはリムの交換タイミングだということをお知らせする仕組みです。
【16インチ後輪リムの破損】
約1年半前に前輪のリムの寿命が来ているため、後輪もいつかは、と思っていました。私が使っている折りたたみ小径車の16インチアルミリムは、前述のようなポンチ穴はなく、リム側面の状態は見て把握するしかありません。リムの交換は面倒なので、リム側面が湾曲し始めたので「そろそろか」とは考えていましたが、事前交換までは踏み切れずにいました。
そうしている間に、いつぞや「どうも後輪が一回転するたびにブレーキシューにリムが当たるなー」と思ってみてみると、こうなっていました。

リムの外周部が 3cm ほど断裂し、タイヤの空気圧で外側に押し出されています。このためこの部分がブレーキシューに当たっていた状況でした。

今回も大事に至らずに気づいて良かったです。
【リム交換】
交換用に新しいリムを調達します。この小径車、16インチリムです。

スポークを再利用するためには、リムの外径だけではなく、リムハイトも同一である必要があります。したがって、同じ形状のリムを入手する必要があります。このような一般車(子供用自転車)タイプの16インチアルミリムは、一般自転車店はおろか、通販でもあまり売られていません。ヤフオクで何とか「完組」ホイールを入手し、それをばらしてリムだけ使うことにしました。

後輪をフレームから外し、内装変速機を取り出します。すると、内装変速機のハブシェルとリムとスポークだけになります。

この状態だと、ハブシェル内部の空転防止用ラチェット受けもよく見えます。


スポークを抜く前に必ずやるべきこと。それは「写真を撮る」ことです。後輪ハブは28Hの4本組(2交差)であることはわかっていますが、できれば「前と全く同じに」組みたいもの。したがって、ホイールの右側、左側のスポークの組み方がわかるように、写真を撮っておきます。

(ホイール左側)

(ホイール右側)
写真を撮ったら、このようにスポークを順次外してゆきます。

すべてのニップルを取った段階です。スポークは再利用しますので、丁寧にハブシェルから取り外して保存します。

ここで、新旧のリムの重さを測ってみました。今まで利用していた旧リムは215g。

それに対して新規調達したリムは 39g 重く、254g でした。ホイール外周の重量が 39g 増加するのは残念ですが、選択肢がなかったので仕方ないです。

スポークの長さを変えて新規調達も覚悟すれば、Alexrim DA16 16インチあたりのリムも考えたのですが、商品紹介ページを見ると、重量は260gとあります。したがって「仕方ない」と割り切りました。
あとは前もって撮っておいた写真と見比べながらスポークを組んでゆきます。

片面(左側)終了です。引き続き反対側です。

反対側を組み上げたところ、ちょっと失敗。空気入れの接続部分をバルブに無理なく入れるため、バルブ穴の部分のスポークの配置は広く開けるようにしなければならないところ、十分にスポークの位置関係を確認せず、安易に反対側を組んでしまいました。やり直しです。

やり直しました。これでOKです。

【スターメーアーチャー内装変速機 AW-3 のオーバーホール】
変速機を取り外したので、一緒に内装変速機 "AW-3" を徹底的にオーバーホールすることにしました。分解については、かつてブログに書きましたのでここでは割愛しますが、この AW-3、Shimano やローロフなど、もっと複雑な内装変速機と異なり、素人でも分解できます。

総部品点数 50程度。ばらして部品を洗浄し、自分で組み上げることができるので、愛着も出てきます。ただし、分解時に特に注意しなければならないのは、この合計4本あるラチェット用スプリング。

このスプリングは非常に小さく細いため、想定外の力が加わると、すぐに破損してしまいます。また、分解時には油まみれのラチェットや軸と一緒になっているため、気を抜くと衣服や手に付いたりして行方が分からなくなります。この AW-3 を分解する場合は、本体を取り出したら、まず第一にこのラチェット用スプリング(Pawl Spring)を4つ確保し、紛失しないような小皿に分けておくことをお勧めします。
今回は、久々のオーバーホールなので、各部品を超音波洗浄装置でクリーニングしました。

パーツクリーナーで洗浄したものでも、超音波洗浄装置にかけると、隠れている部分の油脂が水中の煙のように溶出してきます。



これはちょっとやりすぎで、通常はパーツクリーナーで洗えば十分だと思いますが、たまのオーバーホールなので愛情を注いでみたということです(笑)。
アウターキャップとボールリングの間のベアリングボールケージのベアリングボールが、グリス切れでこんなに劣化していました。

このベアリングボールは自転車用に一般的に利用されている 3/16 インチサイズです。さび付いたベアリングのまま組み上げたくはありません。東急ハンズ渋谷店で入手できたので助かりました。

これで OK。内装ギアを組み上げることできます。

無事に後輪のリムを交換し、内装ギアもオーバーホール完了しました。

あとはフレームに組み付け、最後の苦行「振れ取り」を行います。非常に地道な作業です。夏の暑い盛りに、外でこれらをずっとやっていたため、熱中症になりかけました。危なかったです。
実際走ってみると、丁寧にメンテしたおかげもあってスムーズな走行がよみがえりました。手を掛けた甲斐がありました。
【関連ページ】
スターメーアーチャー AW-3 のコアパーツの交換
前輪アルミリムの交換
スターメー・アーチャー AWタイプ 内装3段変速機のメンテナンス
スターメーアーチャーの「カラ割り」をしてみた
スターメー・アーチャー AW-3 のオーバーホール
スターメー・アーチャー内装3段変速機の変速ワイヤーの交換
スターメー・アーチャーのハブナットの交換
家庭用超音波クリーナー 東芝 TKS-210
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
カテゴリ: 自転車・アウトドア
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