動画再生時のCPU利用率低下の目的で GeForce GT720 を購入
2015.06.21/Sun/23:24:37
【YouTube 動画の高画質化】
その昔、動画と言えば Apple の QuickTime という時代のころ(1993年頃)、動画の解像度は QVGA(320x240)位が標準で、VGA(640x480)の動画であれば、「高画質」動画と呼ばれていました。その頃のネットワーク環境はというと、ようやく IDSN(128kbps)の常時接続が一般家庭に身近になった頃であって、高画質動画といえば CD や DVD で提供されるのが前提でした。
また当時のビデオカメラの状況は8mmビデオから miniDV テープへと移行していた段階であり、NTSC画質(720x480)が、動画のソースとしての一般的上限でした。さらに、再生可能な動画画質は PCの性能に多分に影響されるため、当時いたずらに解像度の高い動画ソースを提供しても、満足に見ることができない状況でした。
そのように、インターネット環境での動画の画質は、
ところが最近は上記の3要素、どれをとっても性能の向上が著しく、YouTube の動画もフルHD(1920x1080)も去ることながら、4K(3840×2160)画質の動画もYouTubeで利用可能になってきています。
【チップセット内蔵ビデオの限界】
現在私がメインで使っているPCは、数年前のエントリースペックで、マザーボードは FOXCONN G41MXE です。このチップセットは、GMA X4500 というグラフィックスコアを内蔵しています。
私はこのPCで最新 3D ゲームをやることはないので、今までは内蔵グラフィックで満足していました。しかし、最近は YouTube 動画を再生することが多くなり、その動画解像度が Full HD 画質だったりすることが良くあります。
下のグラフは、Full HD(1920x1080 60p)の YouTube 動画を Chrome で全画面再生した際の状況です。

CPU 利用率が 100% に貼りついてしまっています。その結果、動画は「カクカク」になりスムーズに見られない状況です。調べたところ、G41 Express チップセット内蔵の GMA X4500 グラフィックスコアは、HD動画のハードウェア再生支援の機能を持っていないため、HD動画再生の際のCPU負担が高くなってしまうということがわかりました。
ゲームはやらないまでも、滑らかな Full HD 動画を見たいという要望を PC の買換えなしで実現したい。そのために内蔵グラフィックスに決別し、グラフィックボードを購入するという決断に至りました。
【GeForce GT720】
GeForce GT720 は、最新プロセステクノロジーを適用した 700 シリーズの末弟です。特長としては
(参考) NVIDIA Geforce GT 720の仕様など
現在利用しているPCの電源は300Wタイプとかなり小容量です。この電源に対して、大飯喰らいのグラフィックボードを接続すると、不安定になるか、最悪起動しなくなります。したがって、なるべく低消費電力のボードが希望でした。
そこで候補を調べ、早速買ってきました。Palit Microsystems Ltd. の GeForce GT720 です。


中古破格品を買ったのですが、現在出ている GT720 は大抵ファンレス商品です。Palit の現行の GT720 も大型ヒートシンク付きのファンレス商品しか見当たりません。もしかすると初期型の並行輸入品かもしれません。

インタフェースは、D-sub, DVI, HDMI それぞれ1つずつ。オーソドックスな構成です。ディスプレイ3台構成もできるのかもしれませんが、特にその需要はありませんし、ビデオメモリーが1GBなので、3台を同時に高解像度では運用できないかもしれません。
ロープロファイル・スロットにも対応していて、ロープロファイル用のコネクタカバーが付属しています。

ファン付きなので、スロットは1つ分しか消費しません。これは将来 PCI スロットに増設ボードを入れたい場合には助かります。

【動作不安定で数日奮闘、そして解決】
このボードを装着したところ、しばしば、「ディスプレイドライバーが停止しましたが、正常に回復しました」というような得体の知れないエラーが発生し、困っていました。Windows のシステムイベントでは「ディスプレイ ドライバー nvlddmkm が応答を停止しましたが、正常に回復しました。」というエラー内容でした。
「正常に回復しました」と言われても、2,3秒、画面が真っ黒になり、その後も画面のスムーズさが失われ、アプリケーションによっては描画領域が真っ白もしくは真っ黒になったままという始末。これは致命的なエラーで何とか対処しなければと奮闘していました。
実は、この不具合、GeForce ユーザーでは数年前から良く起きていて、さまざまな対処法があることがわかりました。代表的なものは下記のようなものです。
上記のどれも実施し、ドライバーを最新(353.06)にしてみましたが、うまく行きません。しかし最終的に、ドライバーを完全削除し、少し旧式の 341.44 にバージョンダウンすることで安定化に成功しました。私の持っているグラフィック・ボードの個体差やマザーボードや電源との相性かもしれません。ともかく、ドライバは最新のモノが最善とは限らないことが身に染みてわかりました。

【結果と感想】
ドライバーのバージョンを 341.44 に変えてからは、ディスプレイの描画や動画利用中の安定度は完璧。1日中不安なく使い続けられています。
また、問題の YouTube の Full HD 60p の動画再生時の状況は、このように CPU 使用率が平均25%程度に落ち着き、コマ落ちやカクカクもなく、大変スムーズに動画を見られるようになりました。ただし、Chrome ブラウザについては YouTube 動画がデフォルトでは HTML5 で再生されるようになっていて、このままだとグラフィックスカードの動作再生支援機能がフルに活用されないため、ひと手間必要です。Adobe Flash Player で再生するため Chrome 用プラグイン「Disable Youtube™ HTML5 Player」を導入する必要がありました。ただし、これを行ってしまうと、Chrome による YouTube 再生の「売り」の一つである「60FPS再生」ができず、「30FPS再生」に限定されてしまうようです。ご注意ください。
動画再生に Adobe Flash Player を利用する IE(インターネット・エクスプローラー)では、特別なことをしない限り 30FPS 止まりだと思います。YouTube で 60FPS の滑らかな動画を楽しみたい場合は、上記プラグインの導入はせず、動画解像度を 720p あたりに下げて Chrome で楽しむ、もしくは CPU を高性能なものにするしかなさそうです。将来 Chrome の HTML5 が改善され、ハードウェア動画再生支援が早く使えるようになることを期待しましょう。

※追記: その後 OS を Windows 10 にアップグレードし、その標準ブラウザの Microsoft Edge で YouTube 再生したところ、60FPS もでコマ落ちが1つも発生しなくなりました。Edge は相当に動作効率が高まっているとみられます。
(関連ページ: Windows 7 を Windows 10 に無償アップグレードしてみた)
Windows エクスペリエンス インデックスは、4.9 から 5.0 にわずかに向上しました。この GeForce 720 に交換することでゲーム用グラフィックスは大幅に向上しましたが、Window Aero の向上は 0.1 にとどまったからです。

(G41 Express 内蔵グラフィックスの Windows Experience Index)

(GeForce GT 720の Windows Experience Index)
ただし、Windows の操作でストレスを感じることは前からありませんでした。したがって、4.9 でも 5.0 でも特に不満はありません。ともかく、HD 動画をスムーズに見られることができるようになったのが大きな収穫です。
この GT 720 というグラフィックカード、実売で 5,000円~6,000円という安価なカードです。このカードの特長は安くて低消費電力。その割には HD動画をストレスなく見ることができるというものです。最新の 3D ゲームをストレスなくプレイするには明らかに非力ですので、その点割り切りと理解が必要です。
低消費電力で重い処理のゲームをこなすというグラフィックボードが希望であれば、現時点での最右翼は、GeForce GTX 750 Ti ですね。これは本当にお勧めです。16,000円程度の予算があれば、私もこちらを買ったかもしれません。
【関連ページ】
Windows 7 を Windows 10 に無償アップグレードしてみた
GeForceのエントリー向け新製品「GT720」を検証
グラフィックボードの性能比較表2015年版(デスクトップ向け)
Maxwellアーキテクチャ「GeForce GTX 750/750 Ti」をテスト
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
その昔、動画と言えば Apple の QuickTime という時代のころ(1993年頃)、動画の解像度は QVGA(320x240)位が標準で、VGA(640x480)の動画であれば、「高画質」動画と呼ばれていました。その頃のネットワーク環境はというと、ようやく IDSN(128kbps)の常時接続が一般家庭に身近になった頃であって、高画質動画といえば CD や DVD で提供されるのが前提でした。
また当時のビデオカメラの状況は8mmビデオから miniDV テープへと移行していた段階であり、NTSC画質(720x480)が、動画のソースとしての一般的上限でした。さらに、再生可能な動画画質は PCの性能に多分に影響されるため、当時いたずらに解像度の高い動画ソースを提供しても、満足に見ることができない状況でした。
そのように、インターネット環境での動画の画質は、
- 録画機器の性能
- PCの性能
- ネットワークの性能
ところが最近は上記の3要素、どれをとっても性能の向上が著しく、YouTube の動画もフルHD(1920x1080)も去ることながら、4K(3840×2160)画質の動画もYouTubeで利用可能になってきています。
【チップセット内蔵ビデオの限界】
現在私がメインで使っているPCは、数年前のエントリースペックで、マザーボードは FOXCONN G41MXE です。このチップセットは、GMA X4500 というグラフィックスコアを内蔵しています。
私はこのPCで最新 3D ゲームをやることはないので、今までは内蔵グラフィックで満足していました。しかし、最近は YouTube 動画を再生することが多くなり、その動画解像度が Full HD 画質だったりすることが良くあります。
下のグラフは、Full HD(1920x1080 60p)の YouTube 動画を Chrome で全画面再生した際の状況です。

CPU 利用率が 100% に貼りついてしまっています。その結果、動画は「カクカク」になりスムーズに見られない状況です。調べたところ、G41 Express チップセット内蔵の GMA X4500 グラフィックスコアは、HD動画のハードウェア再生支援の機能を持っていないため、HD動画再生の際のCPU負担が高くなってしまうということがわかりました。
ゲームはやらないまでも、滑らかな Full HD 動画を見たいという要望を PC の買換えなしで実現したい。そのために内蔵グラフィックスに決別し、グラフィックボードを購入するという決断に至りました。
【GeForce GT720】
GeForce GT720 は、最新プロセステクノロジーを適用した 700 シリーズの末弟です。特長としては
- 低消費電力(TDP23W)
- DirectX 12対応
- HDMIオーディオ対応
(参考) NVIDIA Geforce GT 720の仕様など
現在利用しているPCの電源は300Wタイプとかなり小容量です。この電源に対して、大飯喰らいのグラフィックボードを接続すると、不安定になるか、最悪起動しなくなります。したがって、なるべく低消費電力のボードが希望でした。
そこで候補を調べ、早速買ってきました。Palit Microsystems Ltd. の GeForce GT720 です。


中古破格品を買ったのですが、現在出ている GT720 は大抵ファンレス商品です。Palit の現行の GT720 も大型ヒートシンク付きのファンレス商品しか見当たりません。もしかすると初期型の並行輸入品かもしれません。

インタフェースは、D-sub, DVI, HDMI それぞれ1つずつ。オーソドックスな構成です。ディスプレイ3台構成もできるのかもしれませんが、特にその需要はありませんし、ビデオメモリーが1GBなので、3台を同時に高解像度では運用できないかもしれません。
ロープロファイル・スロットにも対応していて、ロープロファイル用のコネクタカバーが付属しています。

ファン付きなので、スロットは1つ分しか消費しません。これは将来 PCI スロットに増設ボードを入れたい場合には助かります。

【動作不安定で数日奮闘、そして解決】
このボードを装着したところ、しばしば、「ディスプレイドライバーが停止しましたが、正常に回復しました」というような得体の知れないエラーが発生し、困っていました。Windows のシステムイベントでは「ディスプレイ ドライバー nvlddmkm が応答を停止しましたが、正常に回復しました。」というエラー内容でした。
「正常に回復しました」と言われても、2,3秒、画面が真っ黒になり、その後も画面のスムーズさが失われ、アプリケーションによっては描画領域が真っ白もしくは真っ黒になったままという始末。これは致命的なエラーで何とか対処しなければと奮闘していました。
実は、この不具合、GeForce ユーザーでは数年前から良く起きていて、さまざまな対処法があることがわかりました。代表的なものは下記のようなものです。
- ディスプレイ・ドライバーを完全削除してクリーンインストールする
- Microsoft が Windows Update で提供する nvlddmkm.sys(デバイスドライバファイル)が NVIDIA の最新ファイルと競合するので、Cドライブ内のすべての nvlddmkm.sys を最新ファイルに上書きする
- NVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理」の「電源管理モード」を「パフォーマンス最大化を優先する」に、「垂直同期」を「Off」に変更する
- Microsoft のナレッジ・ベースに従い、Fix it かレジストリ・エディタで、GPU処理のためのタイムアウト検出と復旧の時間を延長する
- NVIDIA コントロールパネルの「PhysX 構成の設定」で、PhysX プロセッサを自動選択ではなく「GeForce GT 720」に固定化する
- グラフィックボードを挿すスロットを変更する(大抵のマザーボードはグラフィックボード用のスロットは一つしかないが)
- グラフィック・ボードのコア・クロック、メモリ・クロックをユーティリティーで若干下げる
上記のどれも実施し、ドライバーを最新(353.06)にしてみましたが、うまく行きません。しかし最終的に、ドライバーを完全削除し、少し旧式の 341.44 にバージョンダウンすることで安定化に成功しました。私の持っているグラフィック・ボードの個体差やマザーボードや電源との相性かもしれません。ともかく、ドライバは最新のモノが最善とは限らないことが身に染みてわかりました。

【結果と感想】
ドライバーのバージョンを 341.44 に変えてからは、ディスプレイの描画や動画利用中の安定度は完璧。1日中不安なく使い続けられています。
また、問題の YouTube の Full HD 60p の動画再生時の状況は、このように CPU 使用率が平均25%程度に落ち着き、コマ落ちやカクカクもなく、大変スムーズに動画を見られるようになりました。ただし、Chrome ブラウザについては YouTube 動画がデフォルトでは HTML5 で再生されるようになっていて、このままだとグラフィックスカードの動作再生支援機能がフルに活用されないため、ひと手間必要です。Adobe Flash Player で再生するため Chrome 用プラグイン「Disable Youtube™ HTML5 Player」を導入する必要がありました。ただし、これを行ってしまうと、Chrome による YouTube 再生の「売り」の一つである「60FPS再生」ができず、「30FPS再生」に限定されてしまうようです。ご注意ください。
動画再生に Adobe Flash Player を利用する IE(インターネット・エクスプローラー)では、特別なことをしない限り 30FPS 止まりだと思います。YouTube で 60FPS の滑らかな動画を楽しみたい場合は、上記プラグインの導入はせず、動画解像度を 720p あたりに下げて Chrome で楽しむ、もしくは CPU を高性能なものにするしかなさそうです。将来 Chrome の HTML5 が改善され、ハードウェア動画再生支援が早く使えるようになることを期待しましょう。

※追記: その後 OS を Windows 10 にアップグレードし、その標準ブラウザの Microsoft Edge で YouTube 再生したところ、60FPS もでコマ落ちが1つも発生しなくなりました。Edge は相当に動作効率が高まっているとみられます。
(関連ページ: Windows 7 を Windows 10 に無償アップグレードしてみた)
Windows エクスペリエンス インデックスは、4.9 から 5.0 にわずかに向上しました。この GeForce 720 に交換することでゲーム用グラフィックスは大幅に向上しましたが、Window Aero の向上は 0.1 にとどまったからです。

(G41 Express 内蔵グラフィックスの Windows Experience Index)

(GeForce GT 720の Windows Experience Index)
ただし、Windows の操作でストレスを感じることは前からありませんでした。したがって、4.9 でも 5.0 でも特に不満はありません。ともかく、HD 動画をスムーズに見られることができるようになったのが大きな収穫です。
この GT 720 というグラフィックカード、実売で 5,000円~6,000円という安価なカードです。このカードの特長は安くて低消費電力。その割には HD動画をストレスなく見ることができるというものです。最新の 3D ゲームをストレスなくプレイするには明らかに非力ですので、その点割り切りと理解が必要です。
低消費電力で重い処理のゲームをこなすというグラフィックボードが希望であれば、現時点での最右翼は、GeForce GTX 750 Ti ですね。これは本当にお勧めです。16,000円程度の予算があれば、私もこちらを買ったかもしれません。
【関連ページ】
Windows 7 を Windows 10 に無償アップグレードしてみた
GeForceのエントリー向け新製品「GT720」を検証
グラフィックボードの性能比較表2015年版(デスクトップ向け)
Maxwellアーキテクチャ「GeForce GTX 750/750 Ti」をテスト
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
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