我が家に HEMS がやってきた!
2015.01.04/Sun/16:00:50
【HEMS とは】
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で使うエネルギーを総合的に管理するシステムの総称です。HEMS は特定企業の製品・サービス名称ではなく、一般名称です。そのため、総合家電メーカー、住宅設備メーカーを中心に、複数の会社が HEMS 製品・サービスを提供しています。
家庭で使うエネルギーを電力を中心に「見える化」し、利用者のエネルギー消費に対する意識を高めると共に、対応家電のコントロール、太陽光発電やエネファーム等に自家発電による売電設備も接続・管理し、家庭の総合的な省エネシステムの核とするようなシステムを目指しています。

(HEMS モニターの例)
2016年には電力小売の自由化が予定され、一般家庭は電力業社を自由に契約することができるようになります。その政策を進めるための補完的施策として、政府も補助金等のプログラムで支援を行い、HEMS を 2030年までに全家庭に設置する※1ことを目指しています。
※1 平成24年「グリーン政策大綱」(内閣官房 国家戦略室)より
HEMS システムのキーポイントは「エネルギー消費状況の見える化によって、利用者による省エネを促す」ことです。何をすることでエネルギーを消費しているのかがわかれば、そのエネルギーを消費しているものの利用を率先して控えるなどして、省エネに貢献することができます。
次のポイントとしては、HEMSシステムによる積極的な電力管理があります。電力を多く消費すると言われるエアコンやIHクッキンググリル、照明などを HEMSシステムが適切にコントロールし、利用者の利便性・快適性を極力抑えつつ、省エネを実現するものです。
この家電のコントロールに関しては、HEMS コントローラーとの相性の関係があり、HEMS システムが適合性を確認した家電製品を導入することが必要です。おのずと HEMS コントローラーと同メーカーの家電製品が対象製品として多くなるので、メーカーの囲い込み戦略としての意味合いもあります。家電メーカーが HEMS を積極的に推進するのは、このあたりの思惑もあるかもしれません。
したがって利用者として HEMS システムを選ぶ際は、家電製品(特にエアコン、テレビ、冷蔵庫、照明、IEクッキングコンロ)にどのメーカーのものを将来導入したいかを見据えて選ぶ必要があると言えます。
【パナソニック HEMS】
今回導入したのはパナソニックの HEMS 製品です。設置機器には設置先の状況に応じた機器構成のバリエーションがあります。

(画像: パナソニックHEMS公式HPより)
パナソニックは小型家電から、カーエレクトロニクス、住宅設備へのビジネスシフトを進めていて、HEMS に相当力を入れています。その結果、HEMS 中核コントローラー AiSEG の導入台数は2013年11月時点で4万世帯以上とされ、 HEMS シェア No1 を宣言しています。
【工事について】
今回導入したのは、HEMS システムの中核を担うコントローラー「AiSEG」と「AiSEG用エネルギー計測ユニット」を追加するスタンダードコースです。エネルギー利用状況を表示する HEMS モニターを導入せず、既存のタブレットやスマートフォンを表示端末とするため、10万円程度するモニターディスプレイの代金を節約することができます。
対応するテレビであれば、このモニター機能をテレビで代用することもできるとのことですが、我が家のテレビはパナソニックではないので、手持ちのタブレットとスマフォを HEMS のモニターとして使います。

(画像: パナソニックHEMS公式HPより)
住宅用分電盤からエネルギー計測ユニットに電流計(CT)を接続し、その計測ユニットが特定小電力無線通信でデータを AiSEG に送信。AiSEG がそのデータを処理して電力利用状況を家庭の PC、タブレット、スマートフォンのウェブブラウザを利用して利用者に見せるという仕組みです。
我が家の分電盤は、玄関の靴箱の上部に設置されています。近くにネットワーク関係の設備も配置されています。今回の工事では AiSEG とエネルギー計測ユニットを設置する必要があります。AiSEG とエネルギー計測ユニットは無線通信でつながるため、AiSEG は必ずしも分電盤の近くに設置する必要はありませんが、エネルギー計測ユニットは分電盤から有線ケーブルを直接結線する必要があるため、分電盤の近くにスペースを作る必要があります。

(HEMS 設置前)
幸い、分電盤の右下に適当なスペースがあったので、この下にエネルギー計測ユニットを設置することにしました。

(HEMS 設置後)
縦長の小箱が2つありますが、左側がエネルギー計測ユニット、右側はエネルギー計測ユニットの電源を切断するブレーカー収納箱ボックスです。

私の家には、太陽光発電やエネファームはありません。売電設備、発電設備はなく、単に東京電力から電力を買っているだけの家庭です。そのため、配線は発電設備がある場合よりもシンプルですが、電力系だけでも、分電盤の各回路から利用電力を測定する「CT(Current Transformer)」(電流センサー)を接続する必要があります。

(分電盤: HEMS 工事前)
分電盤の中には、主幹回路(電源全体)と分岐回路(個別配線)をつかさどるブレーカーがあります。その一つ一つに電流を測定する CT(電流センサー)を取付け、エネルギー計測ユニットまでケーブルを配線します。次の写真で、各回路毎のブレーカーから出る黒色の電源ケーブルが黒いドーナツ状の物体に通されていることが分かると思います。そのドーナツ状の物体が CT(電流センサー)です。このセンサーによって各回路毎にどれだけの電流が流れているかをリアルタイムにエネルギー計測ユニットに送信し、その回路の設定電圧と共に消費電力を算出しているわけです。

(分電盤: HEMS 工事後)
エネルギー計測ユニットが、各回路で使われる電力量をリアルタイムに計測、そのデータを無線で HEMS コントローラーの AiSEG に送信します。

(左側が AiSEG。右側は有線ルーター)
AiSEG は個別の識別番号が振られていて、パナソニックのクラウドサーバーにデータを蓄積し、過去の履歴などを保存します(PANASONIC の HEMS の場合は、クラウドサーバー利用料は無料)。また、この AiSEG は情報閲覧用の WEB サーバーとしての働きを持っていて、この AiSEG にスマフォやタブレットにアクセスすることで、エネルギー利用の様々なモニター画面を見ることができるようになります。
【HEMS 利用】
HEMS システムでは、電力センサーを接続した各回路毎に、きめ細かい利用状況情報を見ることができます。我が家は、現状発電システムがないため、電気の流れを示す図は以下のように至ってシンプルです。図によると、この瞬間に700Wの電力を利用中であることがわかります。

それでも月ごとに来る電気料金のお知らせとは大違いで、HEMS の上記ページの「分岐回路」のボタンをクリックすると、各回路毎のリアルタイムの電力利用状況がわかります。分電盤に記された回路と各回路の表記を照らしてみると、現状どの器具を利用してどのくらい電力が消費されているのかが一目瞭然でわかります。

履歴データと比較することも可能で、1時間、1日、1ヶ月単位で、過去の利用状況を比較することが可能です。このデータは自動的に Panasonic のクラウドサーバーに蓄積されるので、システム任せにすることができます。このクラウドサーバーを含め、システム利用料はゼロで、機器購入代金だけで利用できるのが Panasonic HEMS のセールスポイントとなっています。

この HEMS、電気機器の自動制御の機能を持ってはいるものの、その機器が HEMS 対応していないと自動で節電とはなりません。この HEMS の第一の目的はエネルギー消費状況を「見える化」することによって、ユーザー自身の省エネ行動を促すことにあります。
その意味で、モニター画面は小さな子供でも成果が分かるものが用意されています。次の画面は、「エコ育画面」。前日のエネルギー消費量に比べて、本日の消費量が大きいと、その度合いに応じてペンギンが氷山から落ちてしまいます。つ後の画面は、前日よりも15%省エネだった場合のお知らせ画面です。

また、消費電力量の上限をセットしておくことで、その上限を超えたかどうかについても、子供向けのお知らせ画面があります。次の図は、消費電力が設定値よりも下回っている状態の画面。

【まとめ】
各回路が消費している電力がリアルタイムに分かることで、「ああ、現在冷蔵庫のコンプレッサーが回っている状況だな。コンプレッサーが回っている時は 50W の電力を消費するのか」、とか「炊飯器がご飯を炊くときは 1,000Wが消費され、保温状態の場合は、40W の電力が断続的に消費されるのか」などと、接続されている電気機器の電力消費状況が克明にわかります。
このように「知る」ことによって、どの機器の消費電力が大きいのか、どの機器の消費電力の削減余地が大きいのかが分かってきます。
我が家の場合はリビングの照明とテレビの消費電力が比較的大きく、削減の余地があることが分かりました。HEMS を導入すると、どの機器を買い替えると電気料金の削減に寄与するのか、また年間消費電力が何kwh の機器に買い替えた場合に、年間いくらの電気料金の削減になるのか、具体的な戦略を立てることが可能になってきます。
「知識は力なり」。哲学者フランシス・ベーコンの主張に基づく格言ですが、エネルギー利用状況とそのコストを知ることで、最新の家電を購入して生活レベルと上げつつ、エネルギーコストを削減効果で投資費用を回収する。このようなことが定量的にできるようになります。
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で使うエネルギーを総合的に管理するシステムの総称です。HEMS は特定企業の製品・サービス名称ではなく、一般名称です。そのため、総合家電メーカー、住宅設備メーカーを中心に、複数の会社が HEMS 製品・サービスを提供しています。
家庭で使うエネルギーを電力を中心に「見える化」し、利用者のエネルギー消費に対する意識を高めると共に、対応家電のコントロール、太陽光発電やエネファーム等に自家発電による売電設備も接続・管理し、家庭の総合的な省エネシステムの核とするようなシステムを目指しています。

(HEMS モニターの例)
2016年には電力小売の自由化が予定され、一般家庭は電力業社を自由に契約することができるようになります。その政策を進めるための補完的施策として、政府も補助金等のプログラムで支援を行い、HEMS を 2030年までに全家庭に設置する※1ことを目指しています。
※1 平成24年「グリーン政策大綱」(内閣官房 国家戦略室)より
HEMS システムのキーポイントは「エネルギー消費状況の見える化によって、利用者による省エネを促す」ことです。何をすることでエネルギーを消費しているのかがわかれば、そのエネルギーを消費しているものの利用を率先して控えるなどして、省エネに貢献することができます。
次のポイントとしては、HEMSシステムによる積極的な電力管理があります。電力を多く消費すると言われるエアコンやIHクッキンググリル、照明などを HEMSシステムが適切にコントロールし、利用者の利便性・快適性を極力抑えつつ、省エネを実現するものです。
この家電のコントロールに関しては、HEMS コントローラーとの相性の関係があり、HEMS システムが適合性を確認した家電製品を導入することが必要です。おのずと HEMS コントローラーと同メーカーの家電製品が対象製品として多くなるので、メーカーの囲い込み戦略としての意味合いもあります。家電メーカーが HEMS を積極的に推進するのは、このあたりの思惑もあるかもしれません。
したがって利用者として HEMS システムを選ぶ際は、家電製品(特にエアコン、テレビ、冷蔵庫、照明、IEクッキングコンロ)にどのメーカーのものを将来導入したいかを見据えて選ぶ必要があると言えます。
【パナソニック HEMS】
今回導入したのはパナソニックの HEMS 製品です。設置機器には設置先の状況に応じた機器構成のバリエーションがあります。

(画像: パナソニックHEMS公式HPより)
パナソニックは小型家電から、カーエレクトロニクス、住宅設備へのビジネスシフトを進めていて、HEMS に相当力を入れています。その結果、HEMS 中核コントローラー AiSEG の導入台数は2013年11月時点で4万世帯以上とされ、 HEMS シェア No1 を宣言しています。
【工事について】
今回導入したのは、HEMS システムの中核を担うコントローラー「AiSEG」と「AiSEG用エネルギー計測ユニット」を追加するスタンダードコースです。エネルギー利用状況を表示する HEMS モニターを導入せず、既存のタブレットやスマートフォンを表示端末とするため、10万円程度するモニターディスプレイの代金を節約することができます。
対応するテレビであれば、このモニター機能をテレビで代用することもできるとのことですが、我が家のテレビはパナソニックではないので、手持ちのタブレットとスマフォを HEMS のモニターとして使います。

(画像: パナソニックHEMS公式HPより)
住宅用分電盤からエネルギー計測ユニットに電流計(CT)を接続し、その計測ユニットが特定小電力無線通信でデータを AiSEG に送信。AiSEG がそのデータを処理して電力利用状況を家庭の PC、タブレット、スマートフォンのウェブブラウザを利用して利用者に見せるという仕組みです。
我が家の分電盤は、玄関の靴箱の上部に設置されています。近くにネットワーク関係の設備も配置されています。今回の工事では AiSEG とエネルギー計測ユニットを設置する必要があります。AiSEG とエネルギー計測ユニットは無線通信でつながるため、AiSEG は必ずしも分電盤の近くに設置する必要はありませんが、エネルギー計測ユニットは分電盤から有線ケーブルを直接結線する必要があるため、分電盤の近くにスペースを作る必要があります。

(HEMS 設置前)
幸い、分電盤の右下に適当なスペースがあったので、この下にエネルギー計測ユニットを設置することにしました。

(HEMS 設置後)
縦長の小箱が2つありますが、左側がエネルギー計測ユニット、右側はエネルギー計測ユニットの電源を切断するブレーカー収納箱ボックスです。

私の家には、太陽光発電やエネファームはありません。売電設備、発電設備はなく、単に東京電力から電力を買っているだけの家庭です。そのため、配線は発電設備がある場合よりもシンプルですが、電力系だけでも、分電盤の各回路から利用電力を測定する「CT(Current Transformer)」(電流センサー)を接続する必要があります。

(分電盤: HEMS 工事前)
分電盤の中には、主幹回路(電源全体)と分岐回路(個別配線)をつかさどるブレーカーがあります。その一つ一つに電流を測定する CT(電流センサー)を取付け、エネルギー計測ユニットまでケーブルを配線します。次の写真で、各回路毎のブレーカーから出る黒色の電源ケーブルが黒いドーナツ状の物体に通されていることが分かると思います。そのドーナツ状の物体が CT(電流センサー)です。このセンサーによって各回路毎にどれだけの電流が流れているかをリアルタイムにエネルギー計測ユニットに送信し、その回路の設定電圧と共に消費電力を算出しているわけです。

(分電盤: HEMS 工事後)
エネルギー計測ユニットが、各回路で使われる電力量をリアルタイムに計測、そのデータを無線で HEMS コントローラーの AiSEG に送信します。

(左側が AiSEG。右側は有線ルーター)
AiSEG は個別の識別番号が振られていて、パナソニックのクラウドサーバーにデータを蓄積し、過去の履歴などを保存します(PANASONIC の HEMS の場合は、クラウドサーバー利用料は無料)。また、この AiSEG は情報閲覧用の WEB サーバーとしての働きを持っていて、この AiSEG にスマフォやタブレットにアクセスすることで、エネルギー利用の様々なモニター画面を見ることができるようになります。
【HEMS 利用】
HEMS システムでは、電力センサーを接続した各回路毎に、きめ細かい利用状況情報を見ることができます。我が家は、現状発電システムがないため、電気の流れを示す図は以下のように至ってシンプルです。図によると、この瞬間に700Wの電力を利用中であることがわかります。

それでも月ごとに来る電気料金のお知らせとは大違いで、HEMS の上記ページの「分岐回路」のボタンをクリックすると、各回路毎のリアルタイムの電力利用状況がわかります。分電盤に記された回路と各回路の表記を照らしてみると、現状どの器具を利用してどのくらい電力が消費されているのかが一目瞭然でわかります。

履歴データと比較することも可能で、1時間、1日、1ヶ月単位で、過去の利用状況を比較することが可能です。このデータは自動的に Panasonic のクラウドサーバーに蓄積されるので、システム任せにすることができます。このクラウドサーバーを含め、システム利用料はゼロで、機器購入代金だけで利用できるのが Panasonic HEMS のセールスポイントとなっています。

この HEMS、電気機器の自動制御の機能を持ってはいるものの、その機器が HEMS 対応していないと自動で節電とはなりません。この HEMS の第一の目的はエネルギー消費状況を「見える化」することによって、ユーザー自身の省エネ行動を促すことにあります。
その意味で、モニター画面は小さな子供でも成果が分かるものが用意されています。次の画面は、「エコ育画面」。前日のエネルギー消費量に比べて、本日の消費量が大きいと、その度合いに応じてペンギンが氷山から落ちてしまいます。つ後の画面は、前日よりも15%省エネだった場合のお知らせ画面です。

また、消費電力量の上限をセットしておくことで、その上限を超えたかどうかについても、子供向けのお知らせ画面があります。次の図は、消費電力が設定値よりも下回っている状態の画面。

【まとめ】
各回路が消費している電力がリアルタイムに分かることで、「ああ、現在冷蔵庫のコンプレッサーが回っている状況だな。コンプレッサーが回っている時は 50W の電力を消費するのか」、とか「炊飯器がご飯を炊くときは 1,000Wが消費され、保温状態の場合は、40W の電力が断続的に消費されるのか」などと、接続されている電気機器の電力消費状況が克明にわかります。
このように「知る」ことによって、どの機器の消費電力が大きいのか、どの機器の消費電力の削減余地が大きいのかが分かってきます。
我が家の場合はリビングの照明とテレビの消費電力が比較的大きく、削減の余地があることが分かりました。HEMS を導入すると、どの機器を買い替えると電気料金の削減に寄与するのか、また年間消費電力が何kwh の機器に買い替えた場合に、年間いくらの電気料金の削減になるのか、具体的な戦略を立てることが可能になってきます。
「知識は力なり」。哲学者フランシス・ベーコンの主張に基づく格言ですが、エネルギー利用状況とそのコストを知ることで、最新の家電を購入して生活レベルと上げつつ、エネルギーコストを削減効果で投資費用を回収する。このようなことが定量的にできるようになります。
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最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
カテゴリ: 家電・時計
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