自転車用ヘルメットの革新「ホーヴディング」
2011.12.04/Sun/14:09:58
【スウェーデン自転車事情】
北欧スウェーデンのストックホルムが「健康・環境・エコ」の3拍子を合言葉に同市が自転車利用環境の整備に乗り出したのは1990年代から。その後自転車利用のトレンドは年々高まり、最近10年間で自転車利用者数が80%増加したといいます。何となく現在の日本の状況の先駆的ケースのようです。
ただ、現在のスウェーデンでは子供(15才以下)のヘルメット着用の義務はあるものの、大人には規則がないらしく、ヘルメット着用率はあまり高くないとのこと。理由は「ヘアースタイルが乱れる」「暑苦しい」「ファッショナブルではない」など。
【新型ヘルメット】
そこで、女性大学生2人が政府系団体や財団からの支援を受けて商品化したのがこの「ホーヴディング」。この「ヘルメット」の革新的な点は「普段は首のまわりにあるだけなのに、転倒などの衝撃を感知するとエアバッグが膨らんで頭部を覆いヘルメットのように衝撃から頭を守る」という設計にあります。
普段はこのように、首に通してエリマキ状の装着状態です。少々目立ちますが、ヘルメットよりは存在感が少ないです。見方によっては新しいファッションアイテムのようにも見えます。


これが、事故を感知して膨らむとこのようになります。ホームページの説明によると、このエアバッグは超小型のヘリウムガスボンベからヘリウムガスを高速充填し、事故と判断された瞬間から0.1秒以内に膨らむとされていて、自動車のエアバッグのように「火薬」は使っていないそうです。

まあ膨らむと、なんか「エイリアン」のようで、すぐに取りたくなるような存在感ですね(笑)。とはいえ、この状況が発生する頻度はこの製品の寿命のうち1回あるかないかというもので、この製品が膨らんだ姿を見ることはなく、製品寿命が終わる場合が多いかもしれません。
【仕組み】
この製品の動きを制御しているのは「ブラックボックス」と呼ばれる小型の制御ボックスです。

この中に各種センサーが内蔵され、エアバッグを膨らませるかどうかを瞬時に判断する仕組みが内蔵されているとのこと。また、事故の10秒前までのセンサー情報を記録していて、その記録を製品の改良に生かすとのこと。そのサイクルを確立するため、万が一このホーヴディングが膨らんでしまうような事故が発生した場合、その動作したホーヴディングを販売元に返送すると新しい商品が割引で購入できる制度を整えているそうです。
気になる価格はスウェーデン本国では 3998スウェーデンクローナ(約4.6 万円)。高いですね。自転車1台買えてしまいます(笑)。
【日本では】
ノーブレーキのピストバイクが厳しい取り締まりの対象とされ始め、「自転車は車道へ」という指導も打ち出されてきた最近の自転車行政。増えつつある自転車に対して、その取り扱いをどうしてゆくべきか、環境をどう整えてゆくべきかが日本でも真剣に捉えられつつある状況です。
私としては上記の2つ(ノーブレーキ摘発、自転車は車道へ)は賛成です。自転車は歩道を走り、歩道を走っている自転車が前方の歩行者にベルを鳴らしながら人の方を蹴散らして走ってゆく構図は今までしっくりこなかったからです。
ヘルメットに関しては、当分の間は義務化されないでしょうね。なにせ巡査が白い自転車で警らする場合、例の警察の帽子を脱いでヘルメットをかぶらなくてはならなくなります。法改正は当分先の話でしょう。
この「ホーヴディング」が「ヘルメット」として認可されるかについては、私は懐疑的です。日本では、ヘルメットと名前が付く限り「PSCマーク」が付いていないものを販売することはできません。その基準を見ると、ヘルメットとして認可されるためには、ヘルメットは最初から頭を覆うシェル(帽体)が必要で、このような必要に応じて膨らむタイプは想定されていないようです(下記「関連ページ」参照)。
法律はさておき、自分の身の安全を守りたい人にとってヘルメットは大事なアイテムだと思います。ヘルメットが法制化されていない今だからこそ、こんなアイテムを利用する人は日本でも少数はいるだろうと思います。
【関連ページ】
ホーヴディング公式HP(英語)
財団法人 製品安全協会(SG)公式HP
乗車用ヘルメットの認定基準及び基準確認方法(PDFファイル)
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最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
北欧スウェーデンのストックホルムが「健康・環境・エコ」の3拍子を合言葉に同市が自転車利用環境の整備に乗り出したのは1990年代から。その後自転車利用のトレンドは年々高まり、最近10年間で自転車利用者数が80%増加したといいます。何となく現在の日本の状況の先駆的ケースのようです。
ただ、現在のスウェーデンでは子供(15才以下)のヘルメット着用の義務はあるものの、大人には規則がないらしく、ヘルメット着用率はあまり高くないとのこと。理由は「ヘアースタイルが乱れる」「暑苦しい」「ファッショナブルではない」など。
【新型ヘルメット】
そこで、女性大学生2人が政府系団体や財団からの支援を受けて商品化したのがこの「ホーヴディング」。この「ヘルメット」の革新的な点は「普段は首のまわりにあるだけなのに、転倒などの衝撃を感知するとエアバッグが膨らんで頭部を覆いヘルメットのように衝撃から頭を守る」という設計にあります。
普段はこのように、首に通してエリマキ状の装着状態です。少々目立ちますが、ヘルメットよりは存在感が少ないです。見方によっては新しいファッションアイテムのようにも見えます。


これが、事故を感知して膨らむとこのようになります。ホームページの説明によると、このエアバッグは超小型のヘリウムガスボンベからヘリウムガスを高速充填し、事故と判断された瞬間から0.1秒以内に膨らむとされていて、自動車のエアバッグのように「火薬」は使っていないそうです。

まあ膨らむと、なんか「エイリアン」のようで、すぐに取りたくなるような存在感ですね(笑)。とはいえ、この状況が発生する頻度はこの製品の寿命のうち1回あるかないかというもので、この製品が膨らんだ姿を見ることはなく、製品寿命が終わる場合が多いかもしれません。
【仕組み】
この製品の動きを制御しているのは「ブラックボックス」と呼ばれる小型の制御ボックスです。

この中に各種センサーが内蔵され、エアバッグを膨らませるかどうかを瞬時に判断する仕組みが内蔵されているとのこと。また、事故の10秒前までのセンサー情報を記録していて、その記録を製品の改良に生かすとのこと。そのサイクルを確立するため、万が一このホーヴディングが膨らんでしまうような事故が発生した場合、その動作したホーヴディングを販売元に返送すると新しい商品が割引で購入できる制度を整えているそうです。
気になる価格はスウェーデン本国では 3998スウェーデンクローナ(約4.6 万円)。高いですね。自転車1台買えてしまいます(笑)。
【日本では】
ノーブレーキのピストバイクが厳しい取り締まりの対象とされ始め、「自転車は車道へ」という指導も打ち出されてきた最近の自転車行政。増えつつある自転車に対して、その取り扱いをどうしてゆくべきか、環境をどう整えてゆくべきかが日本でも真剣に捉えられつつある状況です。
私としては上記の2つ(ノーブレーキ摘発、自転車は車道へ)は賛成です。自転車は歩道を走り、歩道を走っている自転車が前方の歩行者にベルを鳴らしながら人の方を蹴散らして走ってゆく構図は今までしっくりこなかったからです。
ヘルメットに関しては、当分の間は義務化されないでしょうね。なにせ巡査が白い自転車で警らする場合、例の警察の帽子を脱いでヘルメットをかぶらなくてはならなくなります。法改正は当分先の話でしょう。
この「ホーヴディング」が「ヘルメット」として認可されるかについては、私は懐疑的です。日本では、ヘルメットと名前が付く限り「PSCマーク」が付いていないものを販売することはできません。その基準を見ると、ヘルメットとして認可されるためには、ヘルメットは最初から頭を覆うシェル(帽体)が必要で、このような必要に応じて膨らむタイプは想定されていないようです(下記「関連ページ」参照)。
法律はさておき、自分の身の安全を守りたい人にとってヘルメットは大事なアイテムだと思います。ヘルメットが法制化されていない今だからこそ、こんなアイテムを利用する人は日本でも少数はいるだろうと思います。
【関連ページ】
ホーヴディング公式HP(英語)
財団法人 製品安全協会(SG)公式HP
乗車用ヘルメットの認定基準及び基準確認方法(PDFファイル)
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最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
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カテゴリ: 自転車・アウトドア
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