【書評】巨人たちの星(J.P. ホーガン)
2011.05.04/Wed/00:09:44
今年は GW には旅行などは行かないことになり、割と自宅で時間が取れそうです。普段できないことをやることができるので、その皮切りにまず長編SF小説の読書をしました。今回読んだのはSFの古典「巨人たちの星」です。
【J.P. ホーガン】
James P. Hogan はイギリス、ロンドン生まれのSF作家。2010年7月12日に69歳でこの世を去った。「巨人3部作」シリーズとして、「星を継ぐもの」(1978年)、「ガニメデの優しい巨人」(1978年)、「巨人たちの星」(1981年)を執筆。
【3部作読破】
だいぶ前に「星を継ぐもの」を読みました。
星を継ぐもの (創元SF文庫)
このあらすじは本ブログの「買ってよかった本」の部分にも書きましたが、こんなストーリーです。
西暦2020年、月面で深紅の宇宙服を着た人間の遺体が発見される。ところが驚くべきことにその遺体は5万年前から月面に存在したことが判明する。地球上ではネアンデルタール人からクロマニョン人の原始時代である。その人間の遺体の発見が様々な科学的論争を湧き起こし、最後に驚愕の結論にたどり着くというジェイムズ・P・ホーガンの古典SFの至宝。
第2作目は「ガニメデの優しい巨人」
ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)
これは3部作の2作目にありがちな惰性や新鮮味の欠如を異星人との「ファーストコンタクト」というイベントで見事に振り切った作品。
今回読んだのは三部作の完結編「巨人たちの星」です。
巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))
【巨人たちの星】
本文が467ページある文庫本です。読むのにかかった時間はおよそ4時間程度でしょうか。読み応えがあります。
第一部の「星を継ぐもの」から引き続いて登場している原子物理学者のヴィクター・ハント、生物学者のクリスチャン・ダンチェッカーの活躍も健在です。冒頭の導入を紹介しましょう。
第二作で、木製の衛星ガニメデで人類は「ガニメアン」と称する高度な文明を持った異星人と遭遇し、その異星人たちと地球で友好的交流を経た後、彼らの末裔が移住した母星、「ジャイアンツ・スター」へと向かうため彼らの恒星間航行用宇宙船「シャピアロン号」で地球を後にする。その直後、地球人が何ら装置を設置していない冥王星よりも外郭のゾーンから「英語」で地球にメッセージが届く。
ところが、そのメッセージを送信した物体は「シャピアロン号」が関与したものでもないことが判明し、謎が深まる。その通信の目的・素性を確かめるため、異星人とのコンタクトに成功したヴィクター・ハントは国連宇宙軍に召集される。
第1作で人類の起源が解き明かされ、第2作では、地球外高度文明と遭遇します。第3作では、その地球外高度文明の母星と地球とが舞台です。宇宙において星と星との距離は光の速さでも数十年かかるスケールであり、このように2元中継的な舞台を設定すると、それぞれの間の「移動」や「通信」のやり取りは描写できません。通信だけでも数十年かかってしまうので、「やりとり」が生まれないからです。その課題を本作品では、高度文明による瞬間移動技術、瞬間通信技術を登場させて解決しています。
遠い星と遠い星との通信がリアルタイムででき、移動も数日単位でできるように舞台設定し、遠く離れた舞台通しの相互効果を演出しています。
前半部分では、深まる謎で読者を引き込み、中盤では巨人の母星のゾーンにまつわる驚愕の事実が解き明かされます。後半では、分厚い本を読んでいるのが苦にならないほど、圧倒的な場面展開で読者を吸い寄せます。
具体的内容に関してはここで書くのは控えます。
ぜひとも読んでみてください。良作です。
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最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
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