望ましいガラスコーティングとは
2011.02.23/Wed/18:43:21
【液体ワイパーについて】
雨の日の視界の確保は安全運転上、大事なことです。クルマの運転をしているときに前や後ろが見えなくなったら安全な運転ができなくなってしまいます。
雨の日は通常ワイパーを作動させながら運転しますが、最近は、よりクリアな視界を確保するため、「液体ワイパー」を併用する人も多いです。「ガラスコーティング」とも言いますね。このガラスコーティングは、シリコンやフッ素系の撥水系の素材をガラスの表面に均一に塗布することによって、雨滴のガラスへの定着力を弱め、雨滴を風圧でガラス外へ飛ばしてしまおうというものです。
この製品の元祖は戦闘機のコックピットでの視界の確保を目的として開発されました。戦闘機のキャノピーは空気抵抗を軽減するため曲率の大きな曲面で成り立っています。またマッハ1(=時速1225.044km)以上で飛ぶ航空機のガラス面でちゃんと作動するワイパーの開発は極めて困難です。そのため、戦闘機の場合、雨滴の除去は、ガラスの表面に特殊なコーティングを施し、水滴を風圧で飛ばしてしまおうという解決策を取りました。
その技術が自動車の窓ガラスに適用され、自動車の走行程度の比較的低速時においても雨滴を飛ばしてしまう位の製品が開発され、それが現在カー用品市場で出回っているガラスコーティング剤なわけです。通常の商品はシリコン系の素材を利用していますが、最近はフッ素系などの長寿命製品なども出てきています。また、本体構造を工夫して塗りやすくしたものなど、素材や形状を含めると、実に多様な製品が販売されています。


SOFT99 ( ソフト99 ) ウィンドウケア ぬりぬりガラコデカ丸 04107 撥水剤
今回のポイントは、ガラスコーティング剤自体の良しあしを論じるのではなく、それを塗るための下地整備についての話です。
【下地処理の大切さ】
撥水性を高めるためガラスコーティングを重ね塗りすることは否定しませんが、一旦ガラスコーティング処理を行ったガラスに対して、ガラスコーティングを再度塗り直すことを何度も行うことはあまりお勧めしません。2,3回位ガラスコーティングを行ったガラスへ再度コーティングを行うのであれば、その前に下地処理を行うと、より高い撥水効果を得ることができます。
その理由は、期間をおいたガラスの表面は、ガラスコートや洗車機からのシリコン、ホコリや雨に含まれる汚れなどが「まだら状に積み重なっている」からです。下記はイメージ図。

(期間が経ったガラス表面のイメージ図)
このようなガラスの表面に改めてガラスコートを施工しても、本来の撥水性を発揮できません。それに加え、上図のようになってしまったガラスは雨の日に油膜とかが発生しやすく、非常に見にくいガラスになってしまって危険です。
そこで、ガラスの表面に部分的に堆積した各種被膜をきれいに落とす下地作りを行うと、その後のガラスコーティングが生きてきます。

(まずガラス表面をきれいに磨く)

(その後ガラスコートを均一に処理する)
【下地処理】
さて、ガラス表面の残留被膜を清掃するには、これを使います。


PROSTAFF(プロスタッフ) ウインドウケア キイロビン120
内容はこのようなセットで、使い方は添付のスポンジを軽く水に浸し、本製品をつけてガラス表面を丹念に磨きます。

非常に細かい研磨剤が主成分です。ボディーの塗装を研磨してしまう位の威力があるので、塗装面には利用することができません。

残留被膜が残っていると、リキッドがこのように水滴上にはじかれてしまいます。

(被膜があるため水がはじかれてしまっている状態)
スポンジを何度も往復させて磨きこんでゆくと、被膜が除去され、だんだん水をはじく部分が減ってゆきます。下の写真で、左側は被膜が残っている状態、右側は被膜が取れている状態です。

(研磨途中。右側が作業完了状態)
下の写真では、大部分の被膜が除去された状態ですが、右中央部はまだ水がはじかれています。このような部分を改めてスポンジで磨きこみ、残留被膜を落としてゆきます。

(研磨途中。水をはじいている部分を再研磨して残留被膜を落とす)
ガラス全体の研磨が完了したら、水で研磨剤を洗い流し、きれいな濡れタオルでガラスを清掃します。ガラス面が乾燥したら、下地処理は完了です。
【コーティング作業】
さて、コーティング作業です。今回はこれを使います。

(ガラコQ)
シリコン系の普及価格帯商品ですが、このように本体下部がアイロンのような形状のフエルトパッドになっていて、手早く塗り広げることができます。

(塗りやすい本体一体型パッド)
ガラス一面にまんべんなく塗った後は、数分間乾かして、きれいなタオルで拭きとるだけです。
【作業結果】
ガラス面は手で触っても「すべすべ」です。試しに水を落としてみると、きれいに流れ落ちて、残りの水滴もこんなきれいな丸型になりました。

水滴がきれいな丸型になる(接触角が大きい)ということは、ガラス面が大きく疎水性になり、ガラスと水滴との滑りが良いことを意味しています。

上記のような水滴は、滑りが良いために比較的低速走行時でも、風によってガラス面の外に吹き飛ばされてしまいます。
このようにガラス面を処理すると雨の日でも視界がクリアで快適です。恐らくこの状態ならば、時速60km程度のスピードが出ていれば、ワイパーは不要でしょう。
雨の日が楽しみです。
-----
最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
雨の日の視界の確保は安全運転上、大事なことです。クルマの運転をしているときに前や後ろが見えなくなったら安全な運転ができなくなってしまいます。
雨の日は通常ワイパーを作動させながら運転しますが、最近は、よりクリアな視界を確保するため、「液体ワイパー」を併用する人も多いです。「ガラスコーティング」とも言いますね。このガラスコーティングは、シリコンやフッ素系の撥水系の素材をガラスの表面に均一に塗布することによって、雨滴のガラスへの定着力を弱め、雨滴を風圧でガラス外へ飛ばしてしまおうというものです。
この製品の元祖は戦闘機のコックピットでの視界の確保を目的として開発されました。戦闘機のキャノピーは空気抵抗を軽減するため曲率の大きな曲面で成り立っています。またマッハ1(=時速1225.044km)以上で飛ぶ航空機のガラス面でちゃんと作動するワイパーの開発は極めて困難です。そのため、戦闘機の場合、雨滴の除去は、ガラスの表面に特殊なコーティングを施し、水滴を風圧で飛ばしてしまおうという解決策を取りました。
その技術が自動車の窓ガラスに適用され、自動車の走行程度の比較的低速時においても雨滴を飛ばしてしまう位の製品が開発され、それが現在カー用品市場で出回っているガラスコーティング剤なわけです。通常の商品はシリコン系の素材を利用していますが、最近はフッ素系などの長寿命製品なども出てきています。また、本体構造を工夫して塗りやすくしたものなど、素材や形状を含めると、実に多様な製品が販売されています。
SOFT99 ( ソフト99 ) ウィンドウケア ぬりぬりガラコデカ丸 04107 撥水剤
今回のポイントは、ガラスコーティング剤自体の良しあしを論じるのではなく、それを塗るための下地整備についての話です。
【下地処理の大切さ】
撥水性を高めるためガラスコーティングを重ね塗りすることは否定しませんが、一旦ガラスコーティング処理を行ったガラスに対して、ガラスコーティングを再度塗り直すことを何度も行うことはあまりお勧めしません。2,3回位ガラスコーティングを行ったガラスへ再度コーティングを行うのであれば、その前に下地処理を行うと、より高い撥水効果を得ることができます。
その理由は、期間をおいたガラスの表面は、ガラスコートや洗車機からのシリコン、ホコリや雨に含まれる汚れなどが「まだら状に積み重なっている」からです。下記はイメージ図。

(期間が経ったガラス表面のイメージ図)
このようなガラスの表面に改めてガラスコートを施工しても、本来の撥水性を発揮できません。それに加え、上図のようになってしまったガラスは雨の日に油膜とかが発生しやすく、非常に見にくいガラスになってしまって危険です。
そこで、ガラスの表面に部分的に堆積した各種被膜をきれいに落とす下地作りを行うと、その後のガラスコーティングが生きてきます。

(まずガラス表面をきれいに磨く)

(その後ガラスコートを均一に処理する)
【下地処理】
さて、ガラス表面の残留被膜を清掃するには、これを使います。
PROSTAFF(プロスタッフ) ウインドウケア キイロビン120
内容はこのようなセットで、使い方は添付のスポンジを軽く水に浸し、本製品をつけてガラス表面を丹念に磨きます。

非常に細かい研磨剤が主成分です。ボディーの塗装を研磨してしまう位の威力があるので、塗装面には利用することができません。

残留被膜が残っていると、リキッドがこのように水滴上にはじかれてしまいます。

(被膜があるため水がはじかれてしまっている状態)
スポンジを何度も往復させて磨きこんでゆくと、被膜が除去され、だんだん水をはじく部分が減ってゆきます。下の写真で、左側は被膜が残っている状態、右側は被膜が取れている状態です。

(研磨途中。右側が作業完了状態)
下の写真では、大部分の被膜が除去された状態ですが、右中央部はまだ水がはじかれています。このような部分を改めてスポンジで磨きこみ、残留被膜を落としてゆきます。

(研磨途中。水をはじいている部分を再研磨して残留被膜を落とす)
ガラス全体の研磨が完了したら、水で研磨剤を洗い流し、きれいな濡れタオルでガラスを清掃します。ガラス面が乾燥したら、下地処理は完了です。
【コーティング作業】
さて、コーティング作業です。今回はこれを使います。

(ガラコQ)
シリコン系の普及価格帯商品ですが、このように本体下部がアイロンのような形状のフエルトパッドになっていて、手早く塗り広げることができます。

(塗りやすい本体一体型パッド)
ガラス一面にまんべんなく塗った後は、数分間乾かして、きれいなタオルで拭きとるだけです。
【作業結果】
ガラス面は手で触っても「すべすべ」です。試しに水を落としてみると、きれいに流れ落ちて、残りの水滴もこんなきれいな丸型になりました。

水滴がきれいな丸型になる(接触角が大きい)ということは、ガラス面が大きく疎水性になり、ガラスと水滴との滑りが良いことを意味しています。

上記のような水滴は、滑りが良いために比較的低速走行時でも、風によってガラス面の外に吹き飛ばされてしまいます。
このようにガラス面を処理すると雨の日でも視界がクリアで快適です。恐らくこの状態ならば、時速60km程度のスピードが出ていれば、ワイパーは不要でしょう。
雨の日が楽しみです。
-----
最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。
カテゴリ: クルマ・バイク
go page top
« 16インチ小径ホイールに CATEYE のリフレクターを装着する(前輪編)
「サヴァン症候群」について考えてみた »
この記事に対するコメント
go page top
トラックバック
承認制としています。無関係なものは承認されない場合があります。
トラックバックURL
→https://ace.reviewmagic.jp/tb.php/348-85da1aad
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバックURL
→https://ace.reviewmagic.jp/tb.php/348-85da1aad
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| h o m e |