LED電球、本格普及へ
2010.03.30/Tue/21:30:01
![]() | 低消費電力・低発熱で長寿命。LED電球は多くのメリットを持っていますが、ネックは価格でした。 ところが生活用品大手のアイリスオーヤマが業界最安値の2,500円で60W型のLED電球を3/26に発売しました(プレスリリース)。早くも始まったLED電球の価格競争。ネックとなっていた価格が安くなれば、普及のスピードは大きく加速しそうです。 |
【東芝、白熱灯製造中止】
先日、日本の家電業界で歴史の一つの節目となる出来事がありました。2010年3月17日、東芝は日本の電器大手では初めて一般白熱灯の製造を停止しました(読売新聞の記事)。
東芝は照明分野では日本の大手家電分野でもパイオニアで、照明部門は創業当時から東芝が力を入れてきた部門です。子供のころに訪問した「東芝科学館」には、50,000W のオバケ電球があって、その明るさに驚いた記憶があります。
その東芝が白熱灯製造をやめるというということは、いよいよ白熱灯は、ブラウン管テレビのように消えゆく運命にあるのだと感無量です。
【LED化加速へ】
東芝が白熱灯をやめるといっても、照明事業を見限ったわけではありません。今後照明はLEDや電球型蛍光灯、ELなどの次世代省エネ型照明へとシフトすることを予想し、その分野へ舵を切ったということです。
さて、先日「LED電球時代到来!」と題して LED電球のトピックを紹介したのですが、その時の試算時に想定したLED電球の売価は 3,500円でした。ところが 2,500円となると、さらにLED電球を利用する場合のメリットが高まります。
改めてLED電球の損益分岐点を計算してみましょう。
【LED電球、電球型蛍光灯、白熱灯のコスト試算】
さて、白熱灯、電球型蛍光灯、LED電球それぞれの仕様は下の表のとおりです。前回の記事との違いは、LED電球の価格です。アイリスオーヤマが低価格LED電球ほ発売したため、価格を 3,500円から 2,500円に引き下げました。また、60W型の東芝のLED電球の消費電力は6.9Wでしたが、アイリスオーヤマの新型は6.3Wに消費電力が引き下げられています。
さて、コストシミュレーションをしてみましょう。条件はLED電球の価格以外は前回と同じく下記です。電気料金は東京電力の基準で計算しています。
表1.設定項目
今回はグラフにしてみました。各種照明を使い続けた場合の照明の代金と電気料金の合計コストです。横軸は「年」です。LED2500は、LED電球が2,500円の場合、LED3500はLED電球が3,500円の場合を表しています。
図1.コスト試算グラフ

上のグラフにおいて、10年間という長い期間を考えると白熱灯のコストはLEDと比べて40,000円弱も差が付いています。グラフでは分かりづらいですが、LED電球のコストが白熱灯よりも下回るタイミングは、LED電球の売価が3,500の場合では利用開始から11ヶ月後であるのに対して、2,500円の場合は8ヶ月後に短縮されています。電球型蛍光灯と比べると、損益分岐点はそれぞれ、42ヶ月後、30ヶ月後です。
【買い時はいつか】
LED電球の売価が下がったことで、さらに LED電球利用の敷居は下がったと言えるでしょう。それでは、すぐにLED電球にリプレースすれば良いのでしょうか?私個人としてはそうは思いません。白熱灯と比べるのは別にして、消費電力の低い電球型蛍光灯が割と安価に買える現状では、まだ焦って LEDにするのはもったいないかもしれません。蛍光灯とのコストが逆転するのが約3年後だとすると、その3年間にLED電球のコストと性能は大幅な向上を遂げているかもしれないからです。
3年は長すぎると思います。人間の感覚として1年間位で元を取れるような製品でないとあまりお得感はありません。したがって、「1年」という損益分岐点を元にLED電球の売価を逆算すると、約1,100円です。現在 2,500円なのですから、LED電球の価格が今後3年以内に 1,100円になるのは無理な予想ではないと思います。
私個人の考えでは、もし1日の点灯時間が10時間に満たないのであれば、ここ1,2年は電球型蛍光灯を使うのが賢明だと考えています。
【LED照明の今後】
とはいえ、LED照明は今後の照明の最右翼です。無駄な電力を使わない LED照明は理想的な照明の一つだと思います。今後、各家電メーカーが凌ぎを削って、高性能・高コストパフォーマンスのLED照明が開発されることでしょう。ここ数年はこの分野の技術と製品の進展は非常に楽しみです。
【関連ページ】
アイリスオーヤマ プレスリリース
白熱電球の製造中止、東芝が120年の歴史に幕
LED電球時代到来!
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最後までご覧いただき、どうもありがとうございました。
先日、日本の家電業界で歴史の一つの節目となる出来事がありました。2010年3月17日、東芝は日本の電器大手では初めて一般白熱灯の製造を停止しました(読売新聞の記事)。
東芝は照明分野では日本の大手家電分野でもパイオニアで、照明部門は創業当時から東芝が力を入れてきた部門です。子供のころに訪問した「東芝科学館」には、50,000W のオバケ電球があって、その明るさに驚いた記憶があります。
その東芝が白熱灯製造をやめるというということは、いよいよ白熱灯は、ブラウン管テレビのように消えゆく運命にあるのだと感無量です。
【LED化加速へ】
東芝が白熱灯をやめるといっても、照明事業を見限ったわけではありません。今後照明はLEDや電球型蛍光灯、ELなどの次世代省エネ型照明へとシフトすることを予想し、その分野へ舵を切ったということです。
さて、先日「LED電球時代到来!」と題して LED電球のトピックを紹介したのですが、その時の試算時に想定したLED電球の売価は 3,500円でした。ところが 2,500円となると、さらにLED電球を利用する場合のメリットが高まります。
改めてLED電球の損益分岐点を計算してみましょう。
【LED電球、電球型蛍光灯、白熱灯のコスト試算】
さて、白熱灯、電球型蛍光灯、LED電球それぞれの仕様は下の表のとおりです。前回の記事との違いは、LED電球の価格です。アイリスオーヤマが低価格LED電球ほ発売したため、価格を 3,500円から 2,500円に引き下げました。また、60W型の東芝のLED電球の消費電力は6.9Wでしたが、アイリスオーヤマの新型は6.3Wに消費電力が引き下げられています。
白熱灯 | 電球型蛍光灯 | LED電球 | |
---|---|---|---|
消費電力 | 54W | 12W | 6.3W |
寿命(時間) | 1,000 | 6,000 | 40,000 |
明るさ | 810ルーメン | 810ルーメン | 565ルーメン |
実売価格 | 50円 | 680円 | 2,500円 |
さて、コストシミュレーションをしてみましょう。条件はLED電球の価格以外は前回と同じく下記です。電気料金は東京電力の基準で計算しています。
表1.設定項目
電気料金 | 0.022円/Wh |
---|---|
1日あたり点灯時間 | 10時間 |
白熱灯寿命 | 1,000時間 |
電球型蛍光灯寿命 | 6,000時間 |
LED電球寿命 | 40,000時間 |
白熱灯売価 | 50円 |
電球型蛍光灯売価 | 680円 |
LED電球売価 | 2,500円 |
今回はグラフにしてみました。各種照明を使い続けた場合の照明の代金と電気料金の合計コストです。横軸は「年」です。LED2500は、LED電球が2,500円の場合、LED3500はLED電球が3,500円の場合を表しています。
図1.コスト試算グラフ

上のグラフにおいて、10年間という長い期間を考えると白熱灯のコストはLEDと比べて40,000円弱も差が付いています。グラフでは分かりづらいですが、LED電球のコストが白熱灯よりも下回るタイミングは、LED電球の売価が3,500の場合では利用開始から11ヶ月後であるのに対して、2,500円の場合は8ヶ月後に短縮されています。電球型蛍光灯と比べると、損益分岐点はそれぞれ、42ヶ月後、30ヶ月後です。
【買い時はいつか】
LED電球の売価が下がったことで、さらに LED電球利用の敷居は下がったと言えるでしょう。それでは、すぐにLED電球にリプレースすれば良いのでしょうか?私個人としてはそうは思いません。白熱灯と比べるのは別にして、消費電力の低い電球型蛍光灯が割と安価に買える現状では、まだ焦って LEDにするのはもったいないかもしれません。蛍光灯とのコストが逆転するのが約3年後だとすると、その3年間にLED電球のコストと性能は大幅な向上を遂げているかもしれないからです。
3年は長すぎると思います。人間の感覚として1年間位で元を取れるような製品でないとあまりお得感はありません。したがって、「1年」という損益分岐点を元にLED電球の売価を逆算すると、約1,100円です。現在 2,500円なのですから、LED電球の価格が今後3年以内に 1,100円になるのは無理な予想ではないと思います。
私個人の考えでは、もし1日の点灯時間が10時間に満たないのであれば、ここ1,2年は電球型蛍光灯を使うのが賢明だと考えています。
【LED照明の今後】
とはいえ、LED照明は今後の照明の最右翼です。無駄な電力を使わない LED照明は理想的な照明の一つだと思います。今後、各家電メーカーが凌ぎを削って、高性能・高コストパフォーマンスのLED照明が開発されることでしょう。ここ数年はこの分野の技術と製品の進展は非常に楽しみです。
【関連ページ】
アイリスオーヤマ プレスリリース
白熱電球の製造中止、東芝が120年の歴史に幕
LED電球時代到来!
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最後までご覧いただき、どうもありがとうございました。
カテゴリ: 家電・時計
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