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「みちびき」想定軌道へ投入完了

2010.09.27/Mon/22:20:52

michibiki_01.jpg
提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
準天頂衛星初号機「みちびき」が無事に想定軌道に投入されました。
【みちびきとは】

みちびきとは JAXA(宇宙航空研究開発機構)が 2010年9月10日に打ち上げた試験衛星です。この衛星の主目的は、GPS(Global Positioning System)による衛生位置測位を補完することです。

GPS による測位方式では、最低3つ(条件によっては2つ)の GPS 衛星が測位位置から見通せなければなりません。高層ビルに囲まれた日本の都市部では、衛星が捕捉できない状況が頻繁に発生します。そのため、「準天頂軌道」という特殊な軌道に衛星を乗せ、衛星をなるべく日本の上空(真上)に滞在させるようにしています。

【準天頂軌道について】

実は日本の真上に衛星を完全に静止させることはできません。その理由は日本が赤道上にないからです。「静止軌道」とは、赤道上空約 36,000km にあり、その軌道に乗せれば、地球の自転に合わせて衛星が動くため、地上から見て衛星が静止しているように見えます。そのために静止軌道と呼ばれます。

もし日本が赤道上にあれば、日本上空の静止軌道に衛星を打ち上げれば、1台の衛星で、その衛星が常に日本の真上にある状態を作り出すことができます。しかし日本は北緯35度前後に位置しているため、「真上」に衛星を静止させることはできません。

そこで、1日で1周するような軌道なのですが、静止軌道をずらし、日本から見て衛星が「南北に」ゆっくり移動するような軌道に衛星を乗せることを考えます。それが「準天頂軌道」です。なるべく日本上空の滞在時間を稼ぐため、その軌道は「円」ではなく、あえて楕円軌道を採用しているとのこと。結果、衛星は直線的に南北に移動せず、8の字型を描いて南北を移動します。

michibiki_02.jpg
準天頂軌道 提供:宇宙航空研究開発機構(JAXA)

「みちびき」が採用したこの軌道は、日本上空に約8時間衛星がとどまり、その他は日本の南側に衛星が移動します。したがって、「常に」日本上空に衛星が存在するためには3機の衛星を運用する必要があります。

【今後について】

この衛星は GPS と同じ規格ではないため、みちびきが稼働を開始したといっても、カーナビなどで、一般消費者がその恩恵を受けることはできません。現状はあくまでも試験・実験利用が主な用途となります。

しかし、このみちびきの打ち上げがH-Ⅱロケットで成功したことによって、日本の誇る打ち上げロケットH-ⅡAの打ち上げ成功率は 94.4% となり、欧州のアリアン5を上回ることになりました。したがって、みちびきの成功は日本のロケット技術全体の成功に大きく貢献しました。

【素朴な疑問】

以前の JAXA 一般公開日に、友人が「3機で24時間カバーできるということは、1機で約8時間ですよね。その8時間を日本のビジネスアワー(例えば9時から17時)にすれば、当面昼だけ使えるということで有益にはならないのでしょうか?」のような質問をみちびきの研究員に聞いてみたらしいのですが、その時の答えとしては、衛星の打ち上げと軌道の投入には適切なタイミングがあるため、そのタイミングを優先し、特に昼の時間帯に1機目が日本の上空に来るような計画は立てていない、とのことでした。

また、打ち上げてしまった衛星の日本上空滞在時間帯を調整(シフト)するのは、極めて困難でしょう。衛星を一時停止することはできないのですから。

実験目的ということであれば、運用時間帯よりもロケット打ち上げや軌道投入のタイミングを優先するのが確かに合理的だと思います。

「はやぶさ」の大成功により日本の宇宙開発予算の復活見直し機運が高まっていますが、このみちびきの2号機、3号機の打ち上げ予算が組まれるかどうかについては未知数です。個人的には打ち上げてもらいたいと思いますが、GPS が無償で利用できる状況下、みちびき2号、3号のプロジェクトの意義に関しては、いろいろな議論があろうかと思います。

【関連ページ】

「みちびき」特設サイト(JAXA)
準天頂衛星初号機「みちびき」の準天頂軌道投入について
はやぶさ関連コンテンツ

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最後までご覧いただきまして、どうもありがとうございました。

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カテゴリ: テクノロジー
タグ: JAXA 
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この記事に対するコメント

GPS とみちびきの意義

はじめまして。
そもそも GPS は、アメリカが軍事目的で構築したもので、基本的に軍事利用が主体と考えられているはずです。それが、東西冷戦終結を機に民間にも開放するようになったものです。その性格上、以前は民間用には精度を制限した情報のみ開放しておりましたが、その後制限は解除されているようです。しかし、GPS の主導権は依然アメリカが独自に握っているのには変りなく、何らかの有事の際には精度の制限のみならず開放そのものの中止の可能性もあるようです。すなわち、現在は無償で利用できている GPS も、いつ利用できなくなるかわからない状況であると言えます。このため、他国においてはアメリカの衛星に頼らない独自の衛星の構築を進めているところも増えております。それらを考えますと、我が国もみちびきを通して研究を進めていくことはそれなりに意義のあることだと思います。
URL | 通りすがりさん #-
2010/10/26 10:49 * 編集 *

Re: GPS とみちびきの意義

コメントありがとうございました。

その通りで、最近の我々日本人の生活は、GPS に依存している割合が大きく高まって来ていますが、GPS 自体は米国の完全なコントロール下にあるわけです。

米航空宇宙局(NASA)勤務時代に欧州との交渉を担当したジョージ・ワシントン大学のスコット・ペース教授は「欧州が『ガリレオをやる』と言ってきたとき、『GPSは今後も無料サービスを続ける。もっと別のことにお金を使ったらどうか?』と言った。だが『どうしてもやりたい』と。『それならどうぞ』となった」と述べていますが(このあたりの情報は、http://globe.asahi.com/feature/100111/02_2.html に詳しい)、この約束に絶対の裏づけはありません。

実運用にかなう日本独自の測位衛星を持つかどうかについては、コスト的な議論が大きなファクターになることでしょうが、コストをコントロールした上での研究開発活動は続けてゆくべきだと私も思います。
URL | 館長 #sOqsgCiY
2010/10/26 12:48 * 編集 *
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